パールネックレスの長さ どれが正解?
「真珠のネックレスの長さの種類は、チョーカー、オペラ、マチネー、ロープの4種類!」
宝飾メーカーに勤め始めたころ、ネックレスの長さの種類を暗記するよう上司からいわれてから、かれこれ15年。
実はまだ覚えていないことを告白しておきます。
そもそも、名前が紛らわしくないですか?覚えづらすぎる!
ということで、パールネックレスの長さについて解説しようと思います。
- 格好いいが覚えられない長さの名前
- 大別すると、チョーカーとロングの2種類
- チョーカーの長さ調整について
- ロング各種類について
- 真珠屋の都合で決まるネックレスの長さ
- オススメの長さ
- ロングネックレスのオーダー
- ほとんどはロングネックレス用の品質で作られる
- チョーカー用とロング用の品質を比べてはいけない
- オススメのロングネックレスの品質
格好いいが覚えられない長さの名前
長さの名前、いろんな定義があってホントに紛らわしいのですが、大体下記のような感じみたいです。格好いい名前がついております。
- チョーカー 40cm (留め金具を入れて43cm)
- マチネー 60cm (留め金具を入れて63cm)
- オペラ 80cm (留め金具を入れて83cm)
- ロープ 120cm (留め金具を入れて123cm)
チョーカーは「首を絞めるもの」という意味があるので、首にぴったりする長さです。
マチネは昼の演劇などの興行のこと。一方オペラは夜に開催されます。
昼間用のネックレスが短め、夜用のネックレスが長めなのですね。
120cmのものはかなり長く、「ヒモみたいじゃん…」といわれるのでロープです(多分)。
大別するとチョーカーとロングの2種類
告白したように、真珠屋の著者も長さの名前は覚えていません。
普段は、「普通の長さ(チョーカー)」と「ロング」の2種類でざっくり意識しています。
そもそも、当社で販売している真珠のネックレスは「普通の長さ(チョーカー)」がほとんどです。
お客様にどの長さが似合うのか、いつも悩むのですが、それは、「普通の長さ(チョーカー)」をどう微調整するのか?ということで悩んでいます。
チョーカーの長さ調整について
チョーカーは、真珠部分だけで約40cm、留め金具(クラスプ)を入れて約43cmの長さです。
この長さで使われる方も多いのですが、1珠から4珠ほど外してお組みすることも多いです。
首の太さ、胸元の形などは、お一人お一人違うので、着けられる人に合わせて、微妙に調整しています。
50%ぐらいの方は、少し短くして再調整させて頂いています。
ややほっそりした方は2珠、かなりほっそりの方は4珠外すことが多い印象です。
すごく素敵な服も、裾や丈が合ってないと、オシャレに見えないですよね?
チョーカーの長さは、微調整することによって、見た目がすごく良くなります。
購入をお考えの方は、ぜひ長さ調整ができるお店をご検討ください。
ロング各種類について
一方、ロングネックレスの場合は、1珠2珠増やしたり減らしたりしても印象は変わりませんので、微調整をすることはほとんどありません。
マチネー 60cm(留め金具を入れて63cm)
胸元あたりまで垂れる長さです。クラシカルな雰囲気で、ご高齢のお客様にご指定頂くことが多い長さです。
オペラ 80cm(留め金具を入れて83cm)
お腹の中ほどまで垂れる長さ。現代のロングネックレスといえば、この長さが定番だと思います。
ロープ 120cm(留め金具を入れて123cm)
腰の下あたりまで垂れる長さ。1連で使うには長すぎるので、2連に巻いたり、結んだりして使います。
真珠屋に都合で決まるネックレスの長さ
お店で良く見かけるロングネックレスの長さは、80cm(留め金具を入れて83cm)が多いと思います。
実は、この長さ、真珠屋にとって、都合の良い長さなのです。
真珠屋さんは、最初からロングネックレスを作ることはありません。
真珠はチョーカーの40cmが基本なので、その40cmを何本か組み合わせてロングネックレスを作ります。
なので、80cmか120cmの長さが、真珠屋にとっては非常に都合が良いのです。
80cmなら2本、120cmなら3本分の長さを使って、余ることも不足することもないからです。
「70cmや90cmの長さのロングネックレスはないの?」と疑問に思われる方もいるとでしょう。
答えは、あまりありません。
なぜなら、70cmや90cmのネックレスは、真珠屋さんにとって都合が悪い長さだからです。
オススメの長さ
お店で良く見かけるロングネックレスの長さは、80cm(留め金具を入れて83cm)。
この長さ、実はすこし微妙です。なぜなら、2連にするには少し短いのです。
ですので、オススメの長さとしては、90cm(留め金具を入れて93cm)、身長がある方は、100cm(留め金具を入れて103cm)をオススメします。
これでしたら、2連にした場合でも、余裕を持って着けられます。
トレンド的にも、80cm-100cmぐらいの長さが、アクティブで今風にコーディネイトできるかと思います。
しかし、上でも述べたように、90cmや100cmの長さは、真珠屋さんにとって都合が悪い長さでもあります。
逆にいうと、90cmや100cmのロングを作ってくれるお店は、お客様のことを考える良い店かもしれません。
ロングネックレスのオーダー
上でも述べたように、パールのロングネックレスは、40cmのものを組み合わせて作ります。
ですので、ちゃんとした専門店であれば、店頭にロングネックレスがなくても、予算と長さ等の希望を伝えれば、作ってもらえるかと思います。
80cmのものを希望した場合、ネックレス2本分の価格、
120cmのものを希望した場合、ネックレス3本分の価格になります。
では、100cmのものはどうなるか?
残念ながら、120cmと変わらず、3本分の価格になるかと思います。
(割引してもらえる可能性はありますが…。)
ですが、100cmの長さで注文した場合、20cm分の残りの珠はもらえると思うので、
ブレスレットなどを作ってもらうのがオススメです。
それでも残った珠は、、、
最後のひと珠まで活用してペンダントなどに作るのも良いかと思いますが、
材料費、加工費がかかりますし、コストに見合わないことが多いです。
潔く、予備の珠として保管しておくのが良いと思います。
ほとんどはロングネックレス用の品質で作られる
店頭においてある40cmをつないで加工して作ってもらうと、
ぴったりの長さの、とても綺麗なロングパールネックレスができあがります。
しかし、価格はけっこう高くなります。。。
10万円のネックレスで120cmのロングネックレスを作ると、30万円になります。
結構しますよね。。。
ですので、通常は、ロングネックレス用のそれほど品質にこだわらない材料を使って作られる事が多いです。
チョーカー用とロング用の品質を比べてはいけない
チョーカー(40cm)は一生もので品質にこだわる方が多いですが、
ロングネックレスは、ファッション的に使われる方が多いです。
よって、ロングネックレスは、それほど高品質の真珠は使われない傾向があります。
ですので、チョーカー用とロング用の真珠の品質を同列で比較してはいけません。
それほど綺麗でない真珠も、ロングネックレスであればファッションとしてアリだと思います。
一方、ロングネックレスの品質でチョーカーを作ると、ちょっと貧相な感じになるかもしれません。
オススメのロングネックレスの品質
では、どんな品質で作ればいいのか?
著者のオススメは、
「バロック(真円でないかたち)気味」で「キズあり」だが「テリ(輝き)の良い」真珠です。
真珠に美しさは、「テリ(輝き)」にあります。
「テリ(輝き)」のない真珠は、真珠ではありません。ただの白い球体です。
しかし、「キズあり」というのは、真珠に対して信念を持ったお店でないと販売できないかもしれません。販売説明が難しいというのがあるのだと思います。
市場には、「真円」で「キズなし」だが「テリ(輝き)の悪い」真珠が非常に多いです。
ぜひとも、真珠は「テリ(輝き)」重視でお選び頂ければと思います。
以上、ご参考にして頂ければ幸いです。
アメリカ宝石学会公認鑑定士(GIA.G.G.)
Gemological Institute of America Graduate Gemologist
ダイヤモンド卸、宝飾メーカー勤務を経て、創業60年の老舗、井上真珠店に勤務。現在は暖簾分けされた宇和島イノウエパールの代表。
パール専門小売店にて「お客様一人一人と向き合う接客」をモットーに、お客様の希望や体型をヒアリングの上、仕入れから最終仕上げまでを行い、累計1,000本以上のネックレスを販売してきました。