違いはなに?どこで買う?注文の仕方は?お店に行く前に知っておきたい「パールネックレスの選び方」
永遠のスタンダードと言える、真珠のネックレス。その輝きは、今も昔も世界中の人々を魅了し続けています。 そんな真珠ですが、その品質の見分け方は、多くの人に分かりづらく、あまり知られていないようです。 ここでは、真珠の選び方、品質の見分け方をできるだけわかりやすく、網羅的に解説していこうと思います。

アメリカ宝石学会公認鑑定士(GIA.G.G.)
Gemological Institute of America Graduate Gemologist
井上 智永
ダイヤモンド卸、宝飾メーカー勤務を経て、創業60年の老舗、井上真珠店に勤務。
現在は暖簾分けされた宇和島イノウエパールの代表取締役。
真珠科学研究所認定のテリマスターでもあります。
パール専門小売店にて「お客様一人一人と向き合う接客」をモットーに、お客様の希望や体型をヒアリングの上、仕入れから最終仕上げまでを行い、累計1,000本以上のネックレスを販売してきました。
ここでは、一般のお客様の立場に立って、真珠の買い方、選び方のコツのようなものを解説していこうと思います。
最初に、真珠とはなんなのか?偽物との違いや、真珠の種類などを解説します。
次に、真珠の品質を決める6つの要素について解説します。
- 「大きさ」
大きいから偉いわけじゃない - 「キズ」
分かりやすいけど、こだわりすぎない - 「かたち」
ぐるぐる回してみる - 「色」
実体色と干渉色のコンビネーション - 「巻き」
0.4mm を超えていれば OK - 「テリ」
奥深いけれど要はキレイかどうか
これで真珠の概要が分かるようになると思います。
そして、真珠の選び方4つの重要ポイントについて解説します。
- How どうやって選ぶのか?
鑑定書での品質の比較を基本とすること。多くの店を比較する重要性について。 - When いつ選ぶのか?
真珠製品に季節はないこと。「今だけ」の接客ワードに注意すること。即決しないこと。 - WHERE どこで選ぶのか
デパートの価格が平均的なこと、詐欺的な店も多いので注意すべきこと。価格以外に考慮すべき点など。 - WHAT どれで選ぶのか
真珠には染色とナチュラルがあること、サイズの選び方、品質と価格の関係など。
次に、鑑定書での品質ランクについてです。
次は、大事なオプション選択についてです。
最後に、アフターメンテナンスについて解説します。
以上、全部読むのに、20分ほど掛かると思います。
時間のないかたは、ご自分の興味にあわせて、目次から飛んでいって読んで頂ければと思います。
なお、早く内容を知りたい方は、真珠の品質を分かりやすく並べた品質ピラミッドをご覧下さい。
もしもパールのネックレスの購入を検討しているのあれば、知っておいて欲しいことばかりです。
お役に立つと思いますので、是非ともご一読ください!
また、参考資料として内容をコンパクトにまとめたビジュアルブックを無料配布しております。是非ともお申し込み下さい。
そもそも真珠とは
多くの宝石のなかでも、真珠の最大の特徴は、生命が生み出す宝石だということです。
ある特定の種類の貝は、体内で光り輝く物質を生み出します。それが真珠です。
現在の真珠は、ほぼすべて養殖真珠です。
みなさんが思い浮かべる「あの真珠」は、日本で養殖されて世界に輸出されている、日本の養殖真珠がスタンダードです
1. 真珠の種類
真珠は、元となる貝の種類によって様々なものがあります。ここでは、主なものを簡単に説明します。
アコヤ真珠
このページで扱ういわゆるフォーマルパールです。程よい大きさで、きめ細かく美しい「テリ」を持ちます。
淡水真珠
中国産で安価なものが多い真珠です。いびつな形が多いです。近年は綺麗なものも生産されています。
白蝶真珠(南洋真珠)
10ミリ以上の大きめの真珠です。アコヤ真珠に比べて鏡のようなピカピカしたテリが特徴。タイなどの南の国で生産されています。日本のアコヤ真珠に比べて高価。パーティーなどのきらびやかなシーンで使われることが多いようです。
黒蝶真珠(タヒチ真珠)
タヒチなどで生産される、いわゆる黒真珠。白蝶真珠と同じく10ミリ以上の真珠が多いです。日本のアコヤ真珠では出ないブラックカラーが美しい真珠です。
そのほか、マベ真珠(平面的な半円真珠)、コンクパール(ピンク色の天然真珠。ものすごく高価)などがあります。
「花珠」「天女」は品質ランクの呼び名で、種類はアコヤ真珠です。
2.本物と偽物の違いは?
「貝パール」「花珠貝パール」「コットンパール」これらは、フェイクパール、いわゆる偽物です!デパートなどでも普通に売られていますので、ご注意くださいね。
さて、これらが本物とどう違うのか?もちろんプロから見れば丸わかりなのですが、普通の人からは違いが分かりづらいかもしれません。
1番の違いは、工場で人の手で作られたものと、自然の海の貝の中で作られたものの違いということでしょうか。
ダイヤモンドもガラス玉も、普通の方には見た目が分かりずらいかもしれませんが、一度愛用された方には、美しさの差は歴然とわかると思います。
真珠も、本物を愛用してみれば、奥深く気品ある輝きに魅了されることでしょう!
3.どうやって作るのか?
真珠は、一つ一つ、人の手で守り育てられて作られます。
真珠の体内にメスを入れ、他品種の貝殻から作られた「核」という物体を挿入します。
その際、真珠貝の臓器の一部である「外套膜」を一緒に挿入します。
海の中に戻し、丁寧にたゆみなく手入れをして育てていくと、「核」の上に輝きを生み出す「真珠層」が巻いていきます。
半年から1年半ほど海の中で育てると、美しい輝きの真珠が生まれます。
4.一番のスタンダードは日本のアコヤ真珠
天然真珠は古代から使われていますが、王や貴族などのごく限られた人しか身につけられない、ごく貴重なものでした。
明治時代、日本の技術者たちが、日本のアコヤ貝から真円の真珠を生産することに成功し、真珠は、世界の一般市民に手に届く存在となりました。
近代の真珠の歴史は、日本から始まったのです。
世界中で身につけられる真珠のスタイルを形作ったのは、日本の真珠でした。
改まったお食事の席で、華やかな結婚式、入学式、卒業式、お別れのご葬儀で、そんな場面で使われる、清楚なイメージの「あの真珠」は、アコヤ真珠のネックレスです。
今でも、世界で愛される清楚で美しい真珠は、日本のアコヤ真珠をスタンダートとしているといってよいでしょう。
品質を決める六つの要素
1.「大きさ」大きいから偉いわけじゃない
アコヤ真珠の大きさは、3ミリから10ミリぐらいまでです。もちろん、品質が同じであれば、大きいほど値段は高くなります。
ですが、大きい真珠ほど偉いわけではないのですよ!
小さくて品質の良い真珠は、大きくて品質の悪い真珠よりも高価です。
また何より、似合う真珠の大きさは人それぞれです。
自分好みの大きさの真珠が、一番良い大きさなのです。
2.「キズ」分かりやすいけど、こだわりすぎない
真珠が産み出されるとき、最初から付いている、デコボコや肌あれを「キズ」とよびます。
業者が扱っている間に付いたキズと誤解されることが多いですが、真珠は一般のかたが思われるよりも、ずっと丈夫ですので、キズのほとんどは生まれた時からあるキズです。
知っておいてほしいこととしては、真珠は、生物が生み出した宝石だということ。
よって、鉱物由来の宝石に比べて、キズが多い状態で生まれやすい宝石だということです。
「無キズ」とはいえ、拡大鏡でみれば、いくつかのキズを見つけることができると思います。
ダイヤモンドのようにルーペで見ることは、欠点に気をとられすぎることになりますので、プロは常に肉眼で鑑定しています。
しかし、ご注意いただきたいことが。
「キズ」がない真珠は当然高価です。
予算が限られている場合、「キズありで輝きが強い真珠」か「キズなしで輝きが弱い真珠」か、の選択肢が出てきます。
ここでオススメしたいのは、是非とも「キズありで輝きが強い真珠」を選んで頂きたいということです。
なぜなら、
- 真珠はキレイ
- 真珠がキレイなのは、輝いているから
- 輝きがない真珠は真珠じゃない!
ということなのです。
そもそも、小程度の「キズ」でしたら、身につけると「キズ」は分からないかもしれません。
もちろん、「キズ」の極端に多い真珠は、身につけても分かるので論外ですが、少しの「キズ」でしたら、予算が限られている場合は、検討の余地があります。
一度「キズ」が気になり始めたら、間違い探しみたいに、ほんの少しの「キズ」を探して、気になってたまらなくなりますので、是非、他の要素と、ご自分の予算とを合わせて考えてみることをオススメします。
3.「かたち」ぐるぐる回してみる
お目当の真珠のネックレスを、ディスプレイから出してもらって下さい。
そして、真珠のネックレスの両端を持って、ぐるぐる回して見てみる!
これで、形がいびつな真珠は分かります。
回すことによって、「キズ」「かたち」の欠点がわかりやすくなります。
「かたち」も、まん丸がベストではありますが、予算に合わせて多少の変形であれば目をつぶるのもアリだと思います。
実際に身につけた状態で、他の人が見て変形しているのが分かるかどうか、というのが判断のポイントです。
身につけて、あきらかに変形しているのが分かるのはダメですが、あまり分からない程度であれば、予算に合わせて妥協するのもアリだと思います。
予算が限られているのであれば、「キズ」「かたち」よりも「てり」重視するのがオススメです!
4.「色」実体色と干渉色のコンビネーション
みなさん、真珠といえば、どんな色を思いうかべるでしょうか?
純白の「ホワイト」
華やかな「ピンク」
この二つを思いうかべるかたが多いかと思います。
でも、私たち真珠屋さんは「ピンク色の真珠をください!」と言われると、心のなかでこうツブヤキます。
「ピンクにもいろいろあるんだよなあ」と。
実は、真珠の色は、2つの色のコンビネーションでできています。
① 実体色
② 干渉色
この二つは、それぞれに影響しあい、繊細で微妙な色合いを生み出しています。
その色は複雑で、「ピンク」や「ホワイト」の一言では表現できないのです。
① 実体色について
①-1 ナチュラルカラー
真珠層のもともとの色(実体色)は、うすい黄色です。
海から獲れた状態では、黄色みをおびた真珠がほとんどです。
その中でも、黄色の色素がごく薄く、白い真珠を選び抜いて作ったのが、みなさんが思いうかべる、「ホワイト」や「ピンク」の真珠なのです。
①-2 異物による色
ブルーやグレーと呼ばれる真珠です。
真珠層に異物が混入することで、黒っぽい色あいが現れます。
真珠層本来の色ではないので、評価のわかれる真珠です。フォーマルとしてはあまり使われません。お葬式などの専用として使われることがあります。
①-3 調色(着色)による色
特殊な染料を、核と真珠層の間に染み込ませることによって、真珠の実体色をピンク系にすることができます。
真珠に一般的に行われる加工です。
本来、真珠の実体色にはピンクの色合いはありません。自然な真珠のピンクは、干渉色によるものです。
調色(着色)した真珠のピンク色は、自然なピンク色とは違うものなのです。
専門家でないと分からない程度ではありますが、発生のメカニズムが違うので、見た目が違います。
②干渉色について
実体色の上に、干渉色と呼ばれる、光の反射によって作られる色がプラスされます。
干渉色は、以下の三種類です。
②-1 ピンク系
②-1 ピンクグリーン系
②-1 グリーン系
食べる貝などの貝殻を思い浮かべてください。
光が反射する所に、赤や緑の色が含まれていますよね?
その赤や緑の光の反射の色合いが、干渉色です。
真珠の干渉色には「レッド」と「グリーン」があります。
レッドの干渉色が強いものが、「ピンク系」となります。
グリーンの干渉色の強いものが、「ホワイト系」です。
(グリーンの干渉色はピンクに比べて目立たないので、ぱっと見て目立つ実体色の色で「ホワイト」と呼ばれます。
まとめますと、
真珠の色は、「ピンク」か「ホワイト」か、というような簡単な分け方はできないので、
- 実体色は、ナチュラルカラーか?調色(着色)か?
- 干渉色は、ピンク系か?グリーン系か?
というようなところに注目して、選んでいただければと思います。
調色(着色)を行なっていない真珠は、「無調色」または「ナチュラル」と明記されます。
表記のない真珠は、調色(着色)を行なっています。
誤解されやすいのですが、業界の慣習上、
表記なし → 調色(着色)
「無調色」と表記 → 無調色/ナチュラル
となっています。
間違いやすいので、ご注意ください!
5.「巻き」0.4 mm を超えていれば OK
「巻き」とは、核を包む真珠層の厚みのことです。
真珠貝は、1年ほどの年月をかけて、真珠層を一枚づつ、核の上に巻いていきます。
(バームクーヘンのように、薄い層を一枚づつ巻いていくイメージです。)
この真珠層が、真珠の輝き「テリ」を生み出す元となります。
巻きの薄い真珠は、「テリ」が少なく、貧弱な輝きの真珠となってしまいます。
では、真珠層はどの程度の厚みがあれば良いのでしょうか?
ズバリ、美しい「テリ」を生み出す真珠層の厚みは、片面0.4mm以上です。
逆にいうと、0.4mm以上であれば良く、それ以上巻きが厚くなっても、「テリ」には関係がありません。
真珠を長年研究し続けている、真珠科学研究所所長の小松博先生は、その著書の中で、
一般によく言われている、『「まきが厚い程テリも良い」といった誤った考え方』について言及されています。
『あらかじめX線透視でまき厚を測っておいた0.2ミリ以下の真珠と、0.3ミリ以上の2種の真珠を習熟者の方々に、まき厚ごとに分けてもらった(中略)
0.2ミリ以下の真珠は(中略)薄まきグループに仕分けされていますが、0.3mm以上のグループはテリの良い順になっています。
この実験の結果は「0.3ミリ以上は、人間の目ではまき厚は分からない」と「テリの良い真珠は厚まきに見えるということ」です。』
#『真珠事典 真珠、その知られざる小宇宙』小松博 監修 繊研新聞社 より
太字、改行は当記事筆者による
実際に、真珠のプロの方達に巻きの厚い真珠を選別してもらった結果、
プロであっても、0.3mm以上の巻き厚は、区別できなかったとのことです。
そして、「プロが言う巻きが厚い真珠」とは、「テリの良い真珠」であった、とう言う衝撃の結果でした。
昔から言われている、「巻きが厚いほど、美しいテリを生み出す」というのは誤りです。
「厚みが0.3mm以上あり、質の良い巻きが、美しいテリを生み出す」というのが正しいのです。
重要なのは、「巻きの量」ではなく、「巻きの品質」なのです。
「巻きの品質」が重要なので、0.3mm以上の巻きがあっても、質の悪い巻き=真珠層の重なり方が悪ければ、キレイな「テリ」が生まれません。
ちなみに、真珠科学研究所では、0.4mm以下の巻きの真珠は、花珠に不合格となります。
上記引用では0.3mmとなっていますが、花珠基準は0.4mmですので、「最低0.3mmが必要。0.4mmあれば安心」と言う風に理解できるかと思います。
こちらの写真は、真珠を半分に切断したもの。片面0.4mmほどの厚巻です。 中の白っぽい部分が「核」。周りの黄色っぽい部分が真珠層です。
6.「テリ」奥深いけれど要はキレイかどうか
「テリ」を生み出すのは、真珠層の厚み、すなわち「巻き」です。
「テリ」の良い真珠を生み出す「巻きの」条件は、
- 巻きの「量」 0.3mm以上が必要
- 巻きの「質」 真珠層が整然と重なり合っている
この二つの条件を満たすと、美しいテリが生まれます。
重要なのは、いくら巻きが厚くても、巻きの質が悪ければ、キレイな「テリ」は生まれないということです。
この点、真珠の専門家でも誤解している人が多いので、ご注意下さい!
「テリ」については、そのメカニズム、表現の仕方について、非常に詳細な研究が行われていて、すごく難しい要素なのですが、要は、キレイか、キレイでないかということです。
まず、お店でディスプレイから出してもらって下さい。
そして、真珠の表面に映った自分の顔や、照明や太陽の光に焦点を合わせて見てみてください。
「テリ」の良い真珠は、
- 自分の顔や照明がよりはっきりと見えます。
- ピンクやグリーンの色が、光と一緒に鮮やかに浮かび上がります。
その時、価格帯の違う真珠と一緒に比較すると分かりやすいと思います。
なんども言うようですが、真珠は「テリ」が命です。
プロは全てにおいて「テリ」を重視します。
同じ予算であれば、「キズ」「かたち」よりも、「テリ」を優先することをオススメします。
How どうやって選ぶのか
1.選びづらかった昔のネックレス
真珠屋さんに入ったら、たくさんのネックレス。似たような見ためなのに、値段がいろいろ。
品質の表示がないから、一個一個よーく見ないと分からない。そもそも普通のお客さんが、細かい違いなんか知らないし…。
あー!どこが違うのか全然分からない!
なんて、昔の真珠のネックレスは、とても選びづらかったのです。
2.現在は品質のランク付けがある
そんな昔にくらべると、現在のネックレスはとても選びやすくなっています。
その原因は、鑑定書の存在。
お店と消費者の間にたった、第三者的な鑑別機関(鑑定書を発行する機関)が、発行している鑑別書を見れば、大体の品質が分かるようになってきたのです。
ただ、鑑別機関は国の許可がいるわけでもなく、誰でも設立することができるので、
信頼できる鑑別機関を選ぶ必要があります。
特に、お店が独自に発行している証明書などは、意味がないのでご注意下さい!
お店の自己申告は意味がありません。第三者の客観的な意見が鑑定書なのです。
3.信頼できる鑑別機関はココだけ
では、どんな鑑別機関(鑑定書を発行する機関)が信頼できるのか?
ズバリ、この二つを選べば間違いないです!
- 真珠科学研究所
- 真珠総合研究所
逆にいえば、この二つ以外が発行している鑑定書は意味がありません。
そもそも、真珠は宝石の中でもとても特殊な宝石です。
宝石のほとんど(ダイヤモンドやルビーなど)は鉱物ですが、真珠は生物が生み出したものなのです。
真珠の構造は独自なので、真珠専門の鑑別機関でないとランクづけはできません。
GIAや中央宝石研究所などのダイヤモンドで有名な鑑別機関でも、
生物が生み出した真珠のランクづけは難しいのです。
真珠科学研究所か真珠総合研究所の鑑定書を選ぶようにしてくださいね。
4.一番大事なのは即決しないこと
真珠を選ぶときに一番大事なことは、「すぐに決めないこと」だと思います。
これ良いかな、と思っても、
- 一度お店を出て頭を冷やす。
- 他のお店も覗いてみて、比較検討してみる。
- コーヒーを飲んだり、一晩寝たりして、じっくり落ち着いて考える。
など、一度クールダウンをして、じっくり考えることをオススメします。
なぜなら、同じ品質の真珠であっても、扱っている店によって値段が全然違います。
多くの場合、「どの真珠を選ぶか」よりも、「どこのお店で選ぶか」が重要なのです。
一つのお店で真珠をたくさん見て比べていくと、この中ではこれが良いというものが出てきますが、他の店では、もっと良い真珠が、もっと安い値段で売っている可能性が大いにあります。
是非、一度店を出て、頭を冷やし、冷静に判断して決断するようにして下さい。
そもそも、宝石屋さんは、販売技術がかなり上手です。
今ここで買うよう、帰ってしまわないように、巧みに接客をしてきます。(特に展示会場などで。)
そんな時は、強い心を持って、「少し考えます」といって店や会場をでるようにして下さい。
本当に良心的な店は、他店と比べられても勝つ自信があるので、すぐに決断させるような接客はしません。
逆に、今決めるように引き止めたり、割引などを提案してくるお店は、ダメな店の可能性が高いので、強い心を持って、立ち去るようにオススメします。
When いつ選ぶのか
1.季節はないのでいつでも大丈夫
あこや貝が海から引き上げられて、真珠が取り出されるのは、冬の寒い間。12月から1月頃です。
それから半年から1年かけて、選別や加工の手順を経て、少しづつ店頭に並んでいきます。
現在では、お店に並ぶのは少しづつなので、特定の時期に買う必要はありません。いつでも選んで大丈夫です。
あえていえば、そのお店によって在庫が多い時と少ない時があると思います。
真珠は、工業製品ではないので、注文を受けてすぐ作れる訳ではありません。
真珠貝が、自然の海の中で、長い時間をかけて作っていきます。
売り切れたといっても、すぐにお店に入荷できる訳ではありません。
長い場合は、入荷まで1年かかるということもあります。
また、今年とれたからといって、同じ品質の真珠が来年とれるとは限りません。
お目当の品質の真珠がある時に、焦らずに検討するのが良いと思います。
2.「今だけ何パーセント引き」には要注意
お店によって、「今だけ半額!」などと言っているところがありますよね。
本当に「その時だけ」お得なのでしょうか?
実は、真珠に定価はありません。お店が好きな値段をつけることができます。
なので、お店が好きな値段をつけて、「今だけ何割引き!」という売り方が非常に多いのです。
そういうお店は、大体いつも値引きしています。
「今だけ」という言葉には惑わされず、ゆっくり検討することをオススメします。
WHERE どこで選ぶのか
ここまでで、どうやって(HOW)選ぶのかは、お分かり頂けたかなと思います。
では、どこ(WHERE)で選べば良いのか?
真珠は色々な場所で販売しています。
ここでは、代表的な場所と、その利点欠点を検討して見ようと思います。
1. 「ブランド」 圧倒的な安心感とブランド価格
安心感 ★★★
コストパフォーマンス ★☆☆
アフターメンテナンス ★★☆
選択肢 ★★☆
アクサセリー好きなら誰もが知っている「ミキモト(MIKIMOTO)」、明治時代から続く真珠専門の宝飾ブランドには、圧倒的な安心感があります。
その品質は間違いなし。
質の悪い真珠を売っていることはない、と思って良いでしょう。
御木本ブランドの真珠は、花珠や天女などの鑑定書が付いていませんが、販売している真珠の品質は、全て花珠以上と思っていいです。
圧倒的な安心感はありますが、他で買うのに比べて、価格も圧倒的に高額です。
コストパフォーマンスよりもブランドの安心感を求めるかたでしたら、是非とも「ミキモト」等のブランドをご検討下さい。
なお、他に有名ブランドとして「Tasaki」(田崎真珠)などもあります。
歴史、知名度ともに、「ミキモト」につぐブランドです。
2.「デパート百貨店」王道だけどちょっと割高
安心感 ★★☆
コストパフォーマンス ★★☆
アフターメンテナンス ★☆☆
選択肢 ★★☆
三越、伊勢丹、高島屋…。宝石といえば百貨店。
常設売り場や企画展で、たくさんの真珠を販売しています。
百貨店で販売している真珠業者は、百貨店の審査を通った業者ばかりなので、
詐欺的な真珠業者などは混じっていないと思います。
ただ、真珠販売業者と消費者の間に、デパートの手数料がかかるので、
手数料分だけ割高になっていることが多いようですね。
また、たくさんの業者が、いろんな企画で販売しており、
中には、あまりお得でない業者も混じっている可能性もありますので、
品質と価格をよく検討してから購入するのが良いでしょう。
なお、「百貨店は高い」と思っている人もいますが、実は、一番普通の価格で売っているのは百貨店です。
「真珠の平均価格は、デパートで売っている価格」と思っても良いかもしれません。
なぜなら、詐欺的業者もいませんし、観光地価格で割高に販売している業者もいません。
ものすごくお得な訳ではありませんが、安心して購入できるのが、百貨店の利点だと思います。
3.「街やモールの宝石屋」珠玉混合だが良心的な店も
安心感 ★☆☆
コストパフォーマンス ★★☆
アフターメンテナンス ★☆☆
選択肢 ★☆☆
街の商店街や、ショッピングセンターに入っている宝石屋さん。
街の宝石屋さんの良いところは、気軽に相談できるところ。
特に、地域の老舗のお店などでは、家族代々の宝石を購入している方もいらっしゃいます。
利点としては、アットホームな雰囲気なので、相談がしやすい、ということがあります。
欠点としては、真珠の在庫が少なく、選択肢が少ない所。
真珠についての深い専門知識を持っていないことも多いようです。
また、アフターメンテナンスなども、外部の業者任せになってしまうことも多いようです。
4.「展示会即売会」 割高なことも多いので要注意
安心感 ★☆☆
コストパフォーマンス ★☆☆
アフターメンテナンス ★☆☆
選択肢 ★★☆
ホテルの展示会場などで開かれる展示会。
地域の宝石屋さんが開催したり、エステサロンなどの異業種が開催するもの、
また、真珠産地の組合が開催するものもあります。
展示会のポイントは、色々なメーカーがたくさんの商品を持ち寄っているということです。
大量の商品が並んでいるので、たくさんの中から選ぶことができるという利点があります。
しかし、色々なメーカーが競争するので、強引な販売を行うことがしばしばです。
展示会場で、販売員から強引な接客を受けて、そのまま帰ることができず、欲しくないものを買ってしまった、なんていう経験をされている方は多いと思います。
また、メーカーは売ったあとはそれっきりなので、アフターメンテナンスが満足にできない、という欠点もあります。
あたかも産地直売のような雰囲気で販売する主催者もいますが、真珠養殖業者が直で販売することはほぼ無いので、全て、メーカーが在庫を持ち寄って販売していると思って良いと思います。
仕組みとしては、デパートの展示販売と同じで、主催者が手数料をとって、会場料等の経費を払い、差額を利益とする仕組みです。
展示会、即売会などといって通常よりも安いような雰囲気で販売しますが、
主催者の手数料、会場費、販売員の人件費出張費等で、あまり安い価格では販売できないようです。
30%OFF、50%OFF等の不正二重価格で販売することが多いので、惑わされないよう、注意が必要です。
5.「観光地の真珠専門店」 観光客価格には注意を
安心感 ★☆☆
コストパフォーマンス ★☆☆
アフターメンテナンス ★☆☆
選択肢 ★★☆
こんなことありませんか?
海外でステキだと思って買ったジュエリー。
現地価格で、しかも「私にだけ」「特別に」「半額」にするから、と言われ、喜んで買ってみたけど…。
家に帰ってよく見てみたら、安い素材を使っているし、作りが大雑把だし、これ絶対安物だよね…。
ホントに損した!
あるある、という方、多いと思います。
真珠産地の観光地に行くと軒を連ねる真珠屋さん。
実は、日本の観光地の真珠屋さんのなかにも、残念なお店が混じっています。
そもそも旅行中は、テンションが上がって判断力が鈍っているし、仮に変なものを売っても、帰宅してから遠い旅先まで返品を申し出る方は少ないので、
割高な商品を売っていることが多いです。
できれば明らかに観光客向けの店舗には近寄らないことをオススメします。
とはいえ、中には、下に挙げるまっとうな「真珠専門店」も存在します。
6.「真珠専門店」
安心感 ★★☆
コストパフォーマンス ★★☆
アフターメンテナンス ★★☆
選択肢 ★★☆
ミキモトやタサキみたいに、有名ではないけれど、真珠だけを扱っている専門店。
昔からある老舗っぽいけどどうなんだろう?
なんども言うように、真珠は宝石の中でも特殊ですので、専門知識も必要で、アフターメンテナンスの技術も必要です。
真珠専門店は、知識、技術ともに備えています。また、在庫も豊富であることも多いです。
そもそも、専門店はデパートに卸していたりすることもあり、中間手数料抜きのお得な価格で販売していることもあります!
しかし、観光客向けのお店にはよくないお店もありますので、ご注意下さいね!
7.「インターネット専売店」
安心感 ★☆☆
コストパフォーマンス ★★☆
アフターメンテナンス ★☆☆
選択肢 ★★☆
実店舗を持たず、インターネットだけで販売しているお店。
びっくりするような価格で販売していることも多く、お得な感じがありますよね。
実際、店舗や販売員の経費が掛からないインターネット専売店は、どこよりも安い価格で販売していることがあります。
特に、安価な定番ピアスなど、どこのお店でも販売しているものに関しては、価格競争の原理が働いているので、かなりお得な価格で手に入れることができます。
しかし、インターネット専売の場合、実物を見ることができないので、ネット上で表記されている品質と、実際届いた品質が違っている、という恐れもあります。
例えば、「小キズ」といっても、業者が考える「小キズ」と、消費者が考える「小キズ」の程度が違うことは大いにありえます。
つまり、届いてみたら、「小キズっていってたのに、大きいキズがある!」ということもありえます。
そもそも、実店舗を持たないショップは、顧客対応がおざなりになりがちです。
できれば、店舗の情報ページを確認の上、実店舗をちゃんと展開している店を選べば安心かと思います。
8.「テレビショッピング」
安心感 ★☆☆
コストパフォーマンス ★☆☆
アフターメンテナンス ★☆☆
選択肢 ★☆☆
こちらを読まれている方はなんとなく察してらっしゃるかとは思いますが、テレビショッピングは、基本的にインターネットと同じです。
違うのは、テレビショッピングの方が、インターネットより広告宣伝費が掛かっているということです。
エンターテイメントとしてのショッピングの要素を除けば、あえて選ばれる必要は無いのではないか、と思っています。
不正二重価格での販売にはご注意を
通常価格より、30%OFF、50%OFF、70%OFF、こんな売り方はダメ。不正二重価格です。
そもそも真珠は定価がある商品ではないので、売る方が勝手な価格をつけて販売します。
そこで、最初から高い価格をつけて、「今だけ」「あなたにだけ」「特別に」安くします、という売り方をする業者が大変多いのです。
このような販売店では、いくら安くなったといっても(たとえ90%OFFでも)、不適切な価格である可能性が高いです。
このような店で買うことは、避ける方が賢明だと思います。
What どれを選ぶのか
選び方、選ぶ時期、選ぶ場所、分かっていただけたでしょうか?
さあ、あとは「どれを選ぶか?」です。決めることが多くてごめんなさい。
でも、多くの人にとって真珠は「一生に一本」の大事なジュエリーです。
後悔のないよう、しっかり考えていきましょう!
1.「色」 無調色か調色か
上で説明したとおり、真珠の実体色には三つの種類があります。
- ナチュラルカラー
- グレー/ブルー系
- 調色(着色)によるピンク
「グレー/ブルー系」は異物の混入による色で、評価が別れるところであり、お葬式専用というイメージもありますので、今回は外します。
スタンダードなフォーマルネックレスとしては、
「ナチュラルカラー」か、「調色(着色)によるピンク」か、の二択になるのではないでしょうか?
「ピンクだとお葬式でつけられないのでしょう?」と思われている方もいますが、「調色(着色)によるピンク」であっても、うっすらとした色ですので、実際に身につけると、肌に馴染んで派手な印象は無くなります。お葬式でも問題なくつけることができます。
ただ、ナチュラルカラーの方がおとなしいイメージですので、お葬式でつけやすいことは事実です。
色は結局のところ好みなのですが、ナチュラルか?調色か?と言う選択肢ですと、
- 自然の色にこだわりたいという「こだわり派」なら、ナチュラルカラー
- コストパフォーマンス重視の「コスパ派」なら、調色(着色)によるピンク
と言えるかもしれません。
また、重要なこととして、ナチュラルカラーの方が希少価値があって高価です。
干渉色について
実体色の他に、干渉色の色をどれにするか?と言う問題もありますが、干渉色による差は非常に微妙な差です。
写真ではなかなか表現が難しいです。その微妙な差を悩みたい方は、是非店舗に行って確認して頂ければと思います。
なお、真珠科学研究所の鑑定書ではピンク系、ピンクグリーン系(どちらの色も入っているがピンクが強い)、グリーンピンク(グリーンが強い)系の表記があるので、干渉色がどちらの色か分かるようになっています。
細かいところですが、参考にして下さい!
執筆者個人としては、真珠の輝きを楽しめるのは、ピンク系だと思うので、「ピンク系」か「ピンクグリーン系」の干渉色をオススメしています。
2.「大きさ」 好みだけどおすすめはコレ
真珠のネックレス選びでまず最初に決めておきたいことの一つは、どのサイズ(大きさ)にするか、ということだと思います。
まず前提として、真珠のネックレスは0.5mmのグラデーションをつけて組まれています。
8-8.5mmという表記がある場合、留め金具の隣の、一番端の真珠が8mm。真ん中の真珠が8.5mm。という意味です。
全て同じ大きさでネックレスに組み上げると、真ん中が小さく見えてしまうので、真ん中を少し大きくしています。
0.5mmのグラデーションで、全ての珠が同じ大きさに見えるようになります。
さて、フォーマルネックレスの場合、一般的に選択肢に入るのは、下記の4つではないでしょうか?
- 7-7.5mm
- 7.5-8mm
- 8-8.5mm
- 8.5-9mm
(なお、有名な某国内ブランドさんではもっと小さなサイズから取り揃えていますが、一般的ではないと思います。
15年以上、パールネックレスを販売してきた個人的経験だけで乱暴に言ってしまうと、
前提1
一般的な体型の20〜30代の女性に一番似合うことが多いサイズは、7.5-8mm。
ですが、同時に、
前提2
お年を召されると、大きいサイズの方がしっくりくるようになる。
ということも言えると思います。
例えば、ご本人様が試着ができない状態で、「どのサイズが良いか」との相談をお受けした場合、パールネックレスは一生に一本しか買わない、という前提のもと、上記2つの考えをあわせて、「一般的な若い女性には少し大きいかもしれないですが、お年を召してからもお使い頂くことを考えて、8-8.5mm が一番おすすめです。」と答えるようにしています。
とはいえ、実際はご試着頂いてからお決めいただくのがベストですので、上記の考えを念頭に、各サイズをお試しください。
実は、同じ身長、同じ体重であっても、首回りのサイズ、そして形は、人それぞれ全く違います。
また、真珠に対するお客様のイメージが、
「華やか」であれば大きめサイズの方が良いですし、
「上品」であれば小さめサイズの方がしっくりくると思います。
上記はかなり乱暴な目安の考えですので、是非ご試着などをしてお決め頂きたいと思います。
3.「品質」 花珠かどうかが大きな分かれ目
真珠に詳しく無い方でも、「花珠」という名前は聞いたことありませんか?
「花珠」というのは、真珠の品質ランクのことです。
(ただし、真珠科学研究所もしくは真珠総合研究所が認定していないと意味が無いのでご注意を!)
花珠以上は、キズがほぼ無く、形もまん丸で、アラが見つかりにくいので
「ああ、ここのキズが気になるわ…。」などと、後日後悔することはないかと思います。
反面、一番有名な品質ランクでもあるので、このランクを上回るかどうかで価格が大きく変わります。
予算に限りがあることを考えると、花珠にこだわらないというのもアリではないでしょうか?
「準花珠」は、花珠のすぐ下のランクなので、花珠より少しランクは下がりますが、価格は大分安くなります。
花珠より少し下のランク(準花珠)は、もっともコストパフォーマンスが良い真珠ネックレスだと思います。
4.「連相」真珠がキレイに揃っているか
真珠には様々な色がありますが、人の手で一つ一つ選別されて、統一された色のネックレスに完成されます。
ものによっては、少し色がバラけているかな?というものもありますし、
ほぼ完璧に統一されている、というものもあります。
「連相」とは、真珠のネックレス(連)の統一感をいいます。
「連相」をキレイに揃えるには、調色(着色)することが、簡単で確実な方法です。
逆に、色をつけていない無調色の真珠のネックレスは、かなりの手間暇をかけて組み上げています。
無調色のネックレスが、調色(着色)に比べて高価なのは、こんなところにも原因があるのです。
「連相」の良し悪しは一般の消費者にわかりずらいと思います。
真珠科学研究所もしくは真珠総合研究所の鑑定書を参照するのが良いと思います。
「連相」の悪いネックレスは、花珠以上の品質には合格しません。
選んでみよう
品質ランクのピラミッド
「どうやって選んだらいいのか、基準が分からない…。」と言われがちな真珠ネックレスですが、わたしたち宇和島イノウエパールでは、皆様に簡単に選んで頂けるよう、真珠科学研究所、真珠総合研究所の鑑定書を元に、品質のランキングを行なっています。
1.「天女」最高級の代名詞
真珠科学研究所が発行している、もっとも新しい品質ランクです。
花珠に合格した真珠の中から、「テリ」の優れた真珠だけに与えられる、最高品質の呼称です。
ほぼ「花珠」と同じ品質ですが、「テリ」が際立って良い真珠です。
最高級の真珠が欲しい、という方は「天女」をオススメします。
2.「花珠」もっとも有名な品質ランク
もっとも有名な品質ランクです。
ほぼ無キズで、形もまん丸ですので、欠点を見つけることは難しいです。
「花珠」であれば、使っていて「ここにキズがある…。」などと後悔することは少ないのではないでしょうか?
なお、「天女」と「花珠」の差はごく僅かです。
並べて比べると分かりますが、単品で見分けることは、プロであっても難しいと言われています。
3.「準花珠」ダントツのコストパフォーマンス
花珠の一つ下のランクです。
「テリ」は花珠と変わらないことが多いのですが、少しの「キズ」と、少しだけまん丸で無い真珠が混じっています。
また、若干「連相」が悪いこともあります。
全体的に、少しの欠点がありますが、身につけてしまうと分からない程度の欠点ですので、もっともコストパフォーマンスが良いランクだと言えます。
4.「良質など」 価格で選ぶならコレ
「キズ」「形」「連相」とも、少し難があります。
このランクになると、一般の方でも、欠点に気づくことが多いです。
ただ、「巻き」は合格点ですので、真珠の輝きは十分に楽しむことができます。
キズなども、ご自分では分かると思いますが、少し離れた第三者から見て分かるほどではないので、予算に合わせてお選び頂ければと思います。
これ以下の品質については、あまり良くないことが多いので、正直オススメできません。
同じランクのネックレスであっても、ランクにばらつきがあります。
当店では、花珠に関しては、
真珠科学研究所は高ランクのネックレス、真珠総合研究所は若干低ランクのネックレスで作っています。
価格も、真珠総合研究所のネックレスはお安くなっています。
選んだ後も大事なオプションを決める
どのネックレスにするか決めた後でも、仕上がりの選択をするのも大事なポイントです。
大きく分けて、3つのポイントに分けられます。
- こだわりが反映されやすい「留め金具(クラスプ)」「耳飾り」
- 最終的な美しさを決める「長さ」
- アフターメンテナンスの方針を決める「仕上げ方法」や「ケース」
ここでは、それぞれをいつくかのポイントに分けて、解説していこうと思います。
1.留め金具 デザイン、素材、操作性
クラスプと言います。首の後ろでネックレスを留めるための金具です。
ロングの髪を上げている場合、またはショートの髪のときには、後ろ姿で見える部分です。
従来、選択の余地がなく、ネックレスについてきたものを我慢して使うしかなかったのですが、現在は、色々なデザインから選択可能な店が増えてきています。
とめ外しの難易度を決める「デザイン」、アレルギーが心配な方がこだわりたい「素材」をご紹介します。
【デザイン】留め金具① プラグ式片面
今もっともポピュラーなデザインのクラスプです。
その一番の特徴は、付け外しのしやすさにあります。
裏面の窪んでいる部分を軽くつまむと外れ、入れるときはカチッというまで差し込むだけ。
挿入する棒状のプラグは、上下左右もないので、向きに気をつける必要もありません。
シンプルなデザインで、つける人を選びません。
【デザイン】留め金具② プラグ式両面
①のプラグ式片面と同じく、付け外しのしやすい金具です。
特徴は表裏にデザインが施されている点です。
真珠のネックレスは、着用していると、結構クルクルと回っていくのですが、この金具は、裏返った場合でも不恰好になりません。
上部についているボタンを押すと外れ、入れるときはカチッというまで差し込みます。
挿入する棒状のプラグは、上下左右もないので、向きに気をつける必要もありません。
①のプラグ付片面と比べると、少し小型ですので、若干操作系が劣るところがあるかもしれません。
こちらのタイプには、誕生石をあしらったものもあります。
【デザイン】留め金具③ バネ式
昔から使われていたデザインの金具です。
お母さんが使われていて、馴染みがある方は多いと思います。
このクラスプは、とにかくデザインがカワイイ。
また、クラシックな雰囲気があるので、見た目重視で選ばれる方も多い金具です。
反面、金属の弾性を利用した古い設計のバネ式ですので、付け外しがしづらく、故障が多いのが難点です。
挿入する向きが合っていないとキチンと留まらないので、気をつけて着用する必要があります。
また、つまみ部分が潰れやすく、潰れてしまうと、着用しているうちに外れる恐れがありますので、セーフティーがついているタイプをオススメします。
【デザイン】留め金具④ 旧型バネ式
「バネ式」より更に旧タイプのデザインです。使われる地金の量が少なく、安価に製作できます。
操作性に難があり、壊れやすいので、全くオススメできません。
【素材】留め金具① シルバー
パールの留め金具(クラスプ)でもっとも多く使われているのは、シルバーです。
925スターリングシルバーと呼ばれる、銀の含有率92.5%の素材を使います。
シルバー製品を使うにあたって気になる点は、
- 変色しないか心配
- アレルギーにならないか心配
ということではないでしょうか?
- 変色について
シルバーといえば変色する、と思われがちですが、
アコヤ真珠のネックレスで使われるシルバーのほとんどには、ロジウムメッキを施しているので、変色はしません。
正確には、メッキが剥がれてしまうと変色するのですが、普通に使う分には、ほぼ剥がれないと思って良いかと思います。
長時間カジュアルに着用することが多いリングやチェーンに比べて、パールネックレスの着用時間は短時間です。
パールネックレスの留め金具のロジウムメッキは、ほぼ剥がれることはないと思って良いかと思います。
- アレルギーについて
シルバーはアレルギーを起こしづらい素材です。
更に、パールネックレスに使われるシルバーには、ロジウムメッキを施しています。ロジウムはアレルギーを起こしにくい素材です。
一般的に思われているより、シルバーで金属アレルギーはおこりにくいです。
パールネックレスのシルバー製留め金具のせいで金属アレルギーをおこした方は、とても敏感な方などごく少数です。
ただ昔のものですと、やはりデザインが古くなってきたり、メッキが剥げてきたりするので、交換をオススメしています。
シルバーの留め金具ですと、3,000円程度で交換が可能ですので、10年程度ごとに交換を検討するのが良いかと思います。
【素材】留め金具① ゴールド など
もっとも多く使われている留め金具の素材は、ロジウムメッキを施したシルバーですが、ホワイトゴールドやイエローゴールドで作られた金具もあります。
アレルギーになる可能性が低く、こだわりを満足させてくれます。
ですが、ゴールド製金具の特徴は、とても高価です。
現在(2019年5月2日相場)、シルバーとゴールドの価格比は、1 : 86ほど。
つまり、ゴールドはシルバーの86倍高いのです。
もちろん、製作にあたっての手間は大きくは変わらないので、出来上がりの製品価格は、86倍にはなりません。
ですが、製品になった場合は、10倍以上の価格にはなるかと思います。
特に留め金具(クラスプ)は、多くの量の地金が必要になるので、ゴールドで作った場合に、かなり高価になります。
多くの場合、追加料金が必要となりますが、ゴールドにこだわりを持たれる方は、検討するのも良いかと思います。
ただ、ご注意頂きたいのは、素材がゴールドというだけで、付けにくく、外れやすい、安価な留め金具も存在します。
そのような留め金具でを選ばれるようでしたら、シルバーの方がましだと思います。
ゴールドににこだわれるのであれば、追加料金(2-3万円程度)を覚悟して、しっかりとした留め金具を選んで頂ければと思います。
2-1. イヤリングのデザイン 仕組みで変わるつけ心地
パールネックレスは、イヤリングまたはピアスと一緒に、2点セットとして販売することがほとんどです。
ご自分に合わせて、イヤリングかピアスかを選びます。
ほとんどの場合は、耳にぴったりくっつく直結タイプで作られます。
フォーマルで使われるパールネックレス用の耳飾りは、耳にぴったりくっつく直結タイプが正式とされているからです。
かといって、揺れるデザインのブラタイプで作れない訳ではありませんので、
ブラタイプで作りたい!という場合は、販売店に相談してみて下さい。
しっかりした店であれば、対応してくれると思います。
イヤリングのデザインにもいくつか種類があります。ここでは主だったものをご紹介します。
ネジ式
スクリュー式とも言います。もっともシンプルな方式のデザインです。その名の通り、後ろの部分をネジのようにぐるぐる回して調整し、耳にフィットさせます。
慣れない方には、着脱の感覚をつかむのが少し難しいようです。
ネジバネ式
上記のねじ式に、パッチンするバネ式を組み合わせた方式の金具です。
着脱しやすく、外れにくく、耳も痛くなりづらいので、一番オススメの金具です。
クリップ式よりも金具が目立ちづらいのも良いです。ネジ式よりも若干価格が高くなります。
クリップ式
パッチンと留めるだけなので、着脱がカンタンです。
ですが、留まるポイントが一ヶ所しかないので、外れやすく、耳が痛くなりやすい金具です。
着脱のしやすさでクリップ式にこだわる方もいらっしゃいますが、正直全くオススメできません。
クリップ式微調整(ソフトタッチ)
通常のクリップ式が一ヶ所しか留まるポイントがなかったのに比べ、
こちらは、どこでもピタッと留まるので、着脱しやすく、耳も痛くなりずらい金具です。
弱点としては、ネジ式、ネジバネ式と比べて金具部分が太く目立ちやすいということと、
値段が高いことです。
真珠で使われる金具は上記でほぼ全てですが、実は、各デザインの中でもサイズが違います。
特に、ネジ式の金具は、極限まで細く小さく作った安価なものも存在しますので、ご注意下さい。
心配な場合は、お店にパーツの重量を教えてもらうと良いと思います。
2-2. ピアスのデザイン 素材にもこだわりを
イヤリングに比べて、ピアスのデザインはそれほど多くありません。
注目するべきポイントとしては、
- ポスト(耳に入れる部分)の太さ、長さ、
- キャッチ(後ろの金具)の種類
の二点です。
ポスト(耳に入れる針の部分)のサイズ
- 太さ
細すぎると安定性が悪くなり、太すぎると穴に入れづらくなります。
Mサイズの、7mm〜8mm程度の太さが安定的に着けやすいと思います。 - 長さ
通常は、10mmの長さで作られます。普通はこれで十分かと思います。
ただ、耳たぶがたっぷりしている方は、12mm程度のロングサイズをオススメします。
同じMサイズであっても、太さ長さはメーカーによってまちまちです。
実際の太さ、長さ(できれば重量も)をメーカーに確認することをオススメします。
安価に販売しているメーカーは小さいサイズの金具を使うことが多いです。
上記の写真を見れば分かるように、Sサイズの金具は真珠に差し込む部分が短く、8mm程度の真珠を使うと、真珠が取れてしまう可能性が高くなります。
しっかりとしたサイズの金具を使っているか、チェックが必要です。
キャッチ(後ろの金具)の種類
- 金属キャッチ
ゴールドやプラチナで作られたキャッチ。
以前はこのタイプの金具が主流でしたが、外れやすいのでオススメしません。
「ピアスの金具が外れて落とした!」という方は、こちらの金具を使っている場合がほとんどです。
特に小さいサイズのものは外れやすいので、別のタイプの金具を検討して下さい。
- シリコンのみキャッチ
シリコンを形成して作ったキャッチ。
着けやすく外れにくいので、実用性の高いキャッチです。
シリコン金属キャッチと比べて、金属が入ってないので若干外れやすいですが、非常に安価なのが特徴です。
安価なアクセサリーに付属することが多いキャッチです。
- シリコン金属キャッチ
金属製キャッチの周りをシリコンで包み込んで成形したキャッチ。
中身の金属の種類により、ホワイトゴールド、イエローゴールド、プラチナなどがあります。
このキャッチを使えば、ピアスが外れてなくしてしまう、ということはなくなると思います。
これよりも高価で、高機能をうたうキャッチがありますが(当店でも一時販売していました)、お客様からの評判では、このシリコン金属のキャッチが一番使いやすく、外れにくい、ということでした。
価格も1組1,000円程度ですので、このシリコン金属キャッチを選ばれることをオススメします。
2-3. イヤリングピアスの素材
耳飾りに使う素材は、販売店によってマチマチなので、注意が必要です。
通常は、ホワイトゴールドやプラチナで作ることが多いですが、シルバーを使うこともあります。
申し上げた通り、シルバーはゴールドに比べてとても安価です。
耳飾りをシルバーで作ると、本体価格を下げることができます。
すると、あたかも総額が安いように見えてしまうのです。
ご注意のうえ、全てのパーツを入れた本当の総額で価格比較をするようにして下さい。
ホワイトゴールド
14金で作られることがほとんどです。アレルギーになりにくい素材です。
ジュエリーで使われる金は、金含有率が75%の18金や、58.5 %の14金などが使われます。
100%の24金(純金)は、柔らかすぎるので、ジュエリーの素材としては向いていません。
18金だと25%、14金だと41.5%に、金以外の素材が混ぜられます。(銀、銅、パラジウムなど
ホワイトゴールドは、その混ぜ物の配合を調整し、プラチナに近い色にしたものです。
それでもうっすらと金色が残るので、仕上げにロジウムメッキをかけて仕上げます。
銀色ですので、一番無難に合わせることができます。
イエローゴールド
金含有率75%の18金で作ります。
よく24金にこだわる方もいますが、24金は柔らかくてジュエリーに向いていません。
18金がジュエリーには最良の素材です。
アレルギーになりにくい素材です。
金色で少し派手な印象になるので、現在はあまりフォーマルとして使うことは少なくなってきています。
プラチナ
PT900で作られることが多いです。アレルギーになりにくい素材です。
肌の内部に触れるピアスでは、プラチナを使用することをオススメします。
ホワイトゴールドと同じく、フォーマルとして無難に合わせることができる色です。
値段がホワイトゴールドよりも高くなります。
チタン
アレルギーになりにくい素材として有名です。
比較的安価に作ることができます。
少し黒っぽい色の金具が多く、見た目が少し悪いのが難点です。
ゴールド、プラチナ、シルバーというのがジュエリーの定番素材で、
チタンは安価なアクセサリーの素材、という先入観があるので、
高品質な真珠の金具としてはあまり使われていませんでした。
近年は少しづつ使われることも増えているようです。
アレルギーの感度は人によってまちまちで難しいのですが、
プラチナ = チタン > イエローゴールド > ホワイトゴールド > シルバー
と言えるかと思います。
イヤリングの場合は、耳に直接触れる部分が少ないので、
一般的にホワイトゴールドが使われます。
ピアスの場合は、耳の直接入ることになるので、プラチナをオススメしています。
3. 組み上げ方法
真珠を選び、留め金具を選んだら、組み上げて完成です。
組み上げ方にもいくつかの種類があります。
今後のメンテナンス方針を決める処理ですので、しっかりと選んでいきましょう。
①糸
いちばんオススメしやすい組み上げ方法です。
日本の真珠ネックレスで一番多く行われている処理で、見た目が良く、耐久性もあります。
ネックレスの端の部分を二重にして、丈夫に組み上げます。
現在はGPTという強度の強い糸を使用しているので、切れる心配はほぼありません。
欠点として、糸は劣化するので、5年を目安に交換をする必要があることです。
また、糸での組み上げは、熟練の技術者が行う必要がありますので、真珠を日常的に扱っていない店では出来ないこともあります。
適度なハリ感としなやかさがあり、見た目が美しい組み上げ方法です。
見た目で糸交換の時期を判断する目安としては、ネックレスの端っこを持って、ブランと吊り下げてみてください。
その時、珠と珠の間から5mmくらい糸が見えるようであれば、糸が劣化しているので、糸交換の時期です。
(劣化していない糸の場合は、ほとんど糸がみえない状態です。)
近年登場した高密度ポリエチレン素材のGPTという強度の高い糸が、現在の主流です。
テトロン糸、ナイロン糸、絹糸などは、昔使われていましたが、GPTの登場で使われなくなっています。
GPTは比較的高価な糸ですので、今でもテトロン糸などを使う店もあります。不安な場合は、お店で使っている糸について聞いてみてください。
まとめ
- 5年程度で糸を交換する必要がある
- 見た目が良い
- 定期的に糸を交換すれば切れることはほぼない。
オールノット(糸)
海外のジュエリーで使われることが多い組み上げ方です。
珠と珠の間すべてに結び目を作ります。
独特のしなやかなシルエットで仕上がります。
通常の糸と比べてハリ感がありませんが、美しく仕上がります。
糸と同じく、GPTという高密度ポリエチレン素材の糸を使います。
切れた場合でも真珠が飛び散らないという利点があります。
欠点として、5年程度で糸を交換する必要があること、
通常の糸より、若干切れやすい組み方であることです。
(すべて一重で組むため、端を二重にして組む通常の糸より切れやすくなります。)
まとめ
- 5年程度で糸を交換する必要がある
- 見た目が良い(糸よりしなやかな感じ)
- 糸が切れても散らばらないのが利点。
- 糸プレーンに比べて切れやすい。(金具との結合部分が弱い構造)
ワイヤー
ステンレスの糸をよりあげて、ナイロンでコーティングを施した、ワイヤーを使って組み上げます。
昔のワイヤーは、硬くて曲がりやすい素材でしたが、現在使われているワイヤーは、しなやかで、折れにくい素材になっています。
ワイヤーに伸縮性はありません。その欠点を補うため、珠と珠の間に、弾力性のあるシリコン製のクッションを挟み、後天的に伸縮性を持たせます。
以前は珠と珠の間すべてにクッションを入れていましたが、見た目が悪くなりますので、現在では、端の方に5個程度クッションを入れる組み方をすることが多くなっています。
現在のワイヤーはしなやかなので、見た目は糸と大差ありませんが、ワイヤーが珠と珠の間から若干見えるので、少し見た目が悪くなります。
最大の利点は、劣化しないので、定期的な組み替えの必要がないことです。
ワイヤーは糸より丈夫、と思っている方も多いですが、経験上、ワイヤーはごくまれに切れます。なぜなら伸縮性がないから。
ネックレスに組んで、折り曲げた状態で圧力をかけると、糸は伸縮性があるので切れませんが、ワイヤーは伸縮性がないのでポキっと切れます。
丈夫さを求める方には糸をオススメします。
ただ、糸は5年から10年程度で劣化して切れやすくなり、定期的な糸交換が必要です。
ワイヤーは劣化しないので、何年経ってもずっと丈夫なまま、というのが利点です。
また、組み上げるのに技術が必要ないので、どんなお店でも行うことができる加工です。
(一般の方でも、本やネットを見て道具を揃えれば自分で組み上げることが可能だと思います。
まとめ
- 劣化しないのが利点。
- 見た目が少し悪い
- 折り曲げた状態で力を加えると切れることがある
執筆者の個人的なオススメの順番は、
買った店が近くにある場合、糸 > オールノット > ワイヤー
買った店が遠方にある場合、オールノット > 糸 > ワイヤー
という順番です。
定期的に店に持っていける、という条件であれば、通常の糸が、丈夫で見た目が良いので、もっとも良いと思います。
ただ、通常の糸は、切れる前に糸を交換しなければいけません。
切れてしまえば、珠が転がって行ったりして悲惨なことになってしまいます。
オールノットは、切れても散らばらないので、切れてから糸を交換すれば良いのです。
事前に準備して動ける条件にある場合は、通常の糸がオススメですが、そうでない場合は、オールノットが良いかもしれません。
4.自分にあった長さで調整
どんな素敵なネックレスでも、長さが自分にあっていなければ、格好良く見えません。
ほとんどのネックレスは、金具を含めて43cm程度となっています。
しかし、首回りは人それぞれですので、微調整の必要があります。
短くするには、真珠の数を減らします。
長くするには、真珠の数を増やす必要があります。
短くすることは無料でできますが、長くするにはお金がかかります。
どちらであっても、糸やワイヤーで組み直さなくてはいけないので、お店で調整してもらう必要があります。
ビーズなどの加工に慣れている方でしたら、ご自分でできることもありますが、お店でプロに調整してもらうのが確実です。
短めだと若々しい雰囲気に。ゆったりとした長さですと、落ち着いた雰囲気になります。
では、どのように調整すれば良いかと言うと実際に着けてみて、お店の人と相談するのが一番です。
とはいえ、通販など、そうもいかない場合もあると思いますので、ある程度の目安をお教えしようと思います。
まず、通常のネックレスの長さは、43cmです。この長さは、通常のジュエリーより少し長めです。
一般的なダイヤモンドなどのネックレス(ペンダント)の場合、40cmです。
パールのネックレスは厚みがあるので、少し短めに感じられると思いますが、
それでも、通常より少し長めのだと思って良いと思います。
ダイヤモンドなどの一般的な40cmのネックレスを着けてみた場合、
- 「少しきつい」くらいの方(少しふくよかな方)であれば、そのままの長さ。
- 「ちょうど良い」(標準的な方)くらいであれば、2珠外す。
- 「長過ぎる」(痩せ型な方)くらいの方であれば、4珠外す。
以上参考にして頂けばと思います。
上記は、かなり乱暴な目安ですので、
お店で着けてみて、店員さんと相談して、長さを調整してもらうのが一番です。
買ったお店であれば、こころよく調整してもらえると思います。
その際、調整してもらったものを着けてみて、しっくり行かなかった場合は、ぜひもう一度、再調整してもらってください。
良心的なお店であれば、二、三回の再調整はこころよく引き受けてくれるでしょう。
逆に、買ったお店以外で調整してもらうときは、
それほど親切には対応してくれないと思うので、自分でどの長さにするか決める必要があります。
料金もかかりますので、長さの調整を無料でしてもらえる、相談のしやすい店で購入することをオススメします。
5.保管ケース
通常のケース
機能が付いていない、通常のケースです。
ショップによってデザインが色々です。
好みもあるかと思いますが、基本的に通常のケースは、お店から家に持って帰るまでの間に入れるものですので、こだわりすぎない方が良いと思います。
桐箱入りケース
通常のケースが、桐で作られた箱に入ったものです。
桐には湿度調整機能があります。
現在では、パールキーパーという保存用ケースが発明されたので、
保存用としてはあまり使われなくなっています。
パールキーパー
真珠科学研究所が開発した、真珠保管用のケースです。
真珠の劣化を防ぐ機能を持っています。
「湿度調整」「吸水、吸油」「防錆」の機能があり、安心して真珠を保管することができます。
真珠を保管するために使ったり、また、プレゼントの見た目のために。
ケースもこだわりたいですよね。
かといっても、ケースはネットショップなどですぐに手に入るので、こだわりすぎないのもアリだと思います。
特に保管用としては、ケースは使わず、ジュエリーケースを購入して、他のアクセサリーと一緒に保管する方も多いです。
プレゼント用として考えるなら、ラッピングをしてくれるようにショップにお願いしましょう。
結納用に、熨斗をつけてラッピングしてくれる店もあります。
買った後でもアフターメンテナンス
1.普段のお手入れ方法
真珠のお手入れのコツ、実はただ一つです。
「使い終わったら、柔らかく綺麗な布で拭く」
これだけです。
人の汗などが真珠に付着したままにしておくと、弱酸性によって、真珠層を破壊します。
よって、使い終わったら、汗を拭いてください。
通常の使用の後でしたら、さっと全体を拭く。
少し汗をかいたかな、という時は、一粒づつ揉むように丁寧に拭いてください。
真珠科学研究所開発の「てりクロス」
真珠専用のクロスがベストですが、
メガネ拭きなどの、柔らかく綺麗な布であれば、なんでも大丈夫です。
(ティッシュペーパーは傷がつく可能性があるので、避けてください。)
なお、注意点としては、
- 水洗いはダメ
- 超音波洗浄機の使用はダメ
以上は重要なので、ご注意下さい!
真珠はもともと海のものなので、水は大丈夫だと思うかもしれません。
しかし、真珠にはネックレスの糸を通すために、穴を開けてあります。
その穴から、真珠の内部に水が入ることにより、真珠がダメージを受けることがあります。
水洗いは極力避けた方が懸命です。
2.保管するには
保管するところは、高温多湿の場所はさけてくださいね。
というと、多くの方は、タンスの中かクローゼットの中になると思うのですが、真珠は、防虫剤の側に置かない!
ということに気をつけて頂ければと思います。
防虫剤に含まれていることがある樟脳(ショウノウ)には、真珠を劣化させる成分が含まれています。
その他の化学成分も、真珠にどう作用するか分からないところがあるので、
「防虫剤は真珠から離す」ということを原則としてください。
3.買ったお店で定期メンテナンスを
糸で組んであるネックレスの場合、5年に一度程度の糸替えが必要です。
なお、宇和島イノウエパールでは、お買い上げ頂いた真珠の糸替えは無料です。
また、普段のお手入れが行き届きづらい、真珠の穴付近の汚れなどのクリーニングを施しています。
汚れがひどい場合は、パールリフレッシャーでクリーニングをさせて頂いております。
パールリフレッシャーは、真珠科学研究所が開発したパールネックレス専門のクリーニング機器です。
真珠の表面についた汚れを、全体的に研磨することによってキレイにします。
表面を研磨して磨くというと、サイズは小さくなるのではご心配頂くことがありますが、パールリフレッシャーによって取り除かれる真珠層は、厚さにしてわずか0.001ミリ程度です。
数十回繰り返しても、見た目の大きさは全く変わりません。
とはいえ、一番大事なのは、使い終わったら拭く、という普段のお手入れです。
普段のお手入れ、プラス、5年から10年に一度は専門家のメンテナンスを受ける、というのがベストだと思います。
Q & A
ここから、執筆者がお店で販売していてよく受ける質問をまとめてみます。
どうして価格が違うの?
真珠の大きさ、傷の有無、変形の具合、そして輝きの強弱によって価格が変わります。
上記の品質MAPをご参考ください。
Uwajima Inoue Pearlでは、お客さまに分かりやすいよう、品質ランクごとの鑑定書をつけて販売しております。
他の店では半額にすると言われたけど?
残念ながら大多数の真珠販売店は、はじめに高い価格をつけておき、何割引き等と詐称する、不正二重価格で販売をしています。
当店ではどなた様でも安心してお買い上げ頂けるように適正なワンプライスでの販売を行っています。
ピンク色の真珠が良いものなんでしょう?
ほとんどの真珠は、調色という着色作業を行い、ピンクの色をつけています。ピンク色にこだわると、着色作業を強く行った真珠を選ぶことになりますので、傷、形、輝きなどの他の要素も考えてお選びください。
なお、当店では、着色を行なっていない、無調色の真珠を多く取り揃えております。
着色している真珠と、着色していない真珠はどうしたらわかる?
真珠は調色(着色)をしているのが普通ですので、調色である事は特別に記載しません。
無調色(ナチュラルカラー)と記載していない真珠は、すべて調色を行っています。
真珠は展示会で買うのがいいんでしょ?
展示会では主催者が販売業者を呼んで開催することが多く、中間マージンが発生します。結果的に価格が高くなることが多いので、あまりお勧めできません。
一度会場に入ると他店と比較することができず、二重価格に惑わされやすくなります。
販売者は販売したあとにお客様と接することがないので無責任な態度とったりアフターメンテナンスを怠る可能性があります
2万9,800円の花珠ネックレスがテレビで売ってたけど
「花珠」という呼称は誰でも自由に使うことができるので、業者によっては低品質の真珠も「花珠」と言います。鑑定書がついていても、信頼のある鑑別機関でなければ意味がありません。
真珠科学研究所か真珠総合研究所の鑑定書がついているものも選ぶこともお勧めします。

参考書籍参考サイト
『真珠事典 真珠、その知られざる小宇宙』小松博 監修 繊研新聞社
『ニッポンの真珠がいちばん美しい』小松 博 いなとみのえ 著 繊研新聞社
『えひめ発 真珠ものがたり』 中国四国農政局愛媛統計情報事務所 編 愛媛農林統計協会
真珠科学研究所
http://www.sinjuken.co.jp/
真珠総合研究所
http://www.pearl-institute.co.jp/