オーロラ天女とは?
オーロラ天女は、有名なオーロラ花珠のさらに上のランクであり、真珠科学研究所が発行する鑑定書のなかでは最上級のランクです。
オーロラ花珠との違いや、無調色と調色について、選び方のコツについてなど、わかりやすく解説していきます。
オーロラ天女の定義
オーロラ天女は最高品質の真珠を表す言葉
「天女」は簡単にいうと、「最高品質の真珠」です。
一般的に、高品質の真珠のことを「花珠」と呼びますが、
その「花珠」よりも更に美しい真珠を「天女」と呼びます。
「天女」はいつできた?誰がつくった?
「天女」とは、羽衣伝説などに登場する、天に住む美しい女性のことです。
天上界の女性。吉祥天女・弁財天女など。また、この世に二人といないような美しい女性をたとえていう語。
そんな「天女」という言葉を冠した真珠の鑑定書が流通し始めたのは、2014年ごろ。
小松博先生が所長を務める、真珠科学研究所が発行を始めました。
「オーロラ天女」のイメージは、様々な色の花が咲き乱れる花園の上空を、3色の羽衣をなびかせてゆったりと舞う天女たちの姿を思い描いても良いのです。
(中略)
鉱物の宝石たちが決して真似ができない、真珠の究極の美しさを讃えている言葉なのです。真珠科学研究所発行冊子「『オーロラ天女』新しい鑑別鑑定書が完成」より
オーロラ天女は真珠科学研究所だけ
「花珠」という言葉は、「きれいな真珠」を表す一般的な言葉でしたので、どんな鑑別機関であっても使用することができます。
ですので、怪しい鑑定機関が発行した低品質の花珠鑑定書も存在します。
一方、「天女」という言葉を真珠の品質として使ったのは、真珠科学研究所が初めてです。
真珠品質としての「オーロラ天女」という呼称は、真珠科学研究所によって商標登録されており、他の鑑定機関が使用することはできません。
つまり、「天女」と言えば真珠科学研究所のもので間違いありません。
「天女」がどんな真珠かは、真珠科学研究所の鑑定基準を知る必要があります。
オーロラ天女を鑑定する仕組み
オーロラ天女の最低条件はオーロラ花珠
天女の鑑定を受けるためには、まず「花珠」に合格する必要があります。
きずの有無、巻き(真珠層の厚み)の良否、などの厳しい検査を受け、「花珠」に合格した真珠が、「天女」の鑑定を受けることができます。
最高の「テリ」を持っていることが天女の条件
天女の鑑定とは、「てり」(輝き)を厳しい条件で計測することです。
強く、美しい輝きの「てり」を持った真珠だけが、天女に合格できます。
解析方法
暗闇の中で至近距離から強い光をあて、「てり」(輝き)を発生させます。
その「てり」(輝き)を撮影し、コンピューターで「てり」(輝き)を分析します。
- 色相(色の種類。ピンクかグリーン)
- 彩度(色の鮮やかさ)
- 明度(色の明るさ)
以上の三つの要素に分けて分析し、点数化します。
三つの総合点が90点以上の真珠が、「天女」に合格する品質となります。
オーロラ天女とオーロラ花珠の違い
オーロラ天女はオーロラ花珠の上のランク
簡単にいうと、「花珠」の上のランクが「天女」です。
真珠の品質を決める要素として以下の六つの要素があります。
- 大きさ
- 色
- キズ
- かたち
- 巻き
- てり
これらの要素の中で、「花珠」と「天女」の違いは、「てり」(輝き)だけです。
具体的には、
「花珠」に合格したパールを、「てり」の強さで再度チェックし、合格したものを「天女」と認めます。
オーロラ天女とオーロラ花珠の違いは、「てり」(輝き)だけ
「天女」と「花珠」の違いは、「てり」(輝き)だけです。
「花珠」に合格した真珠の中で、「てり」の強いものが「天女」に合格します。
よく誤解されるのですが、「天女」の方がキズが少ないわけではありません。巻きが厚い訳でもありません。
「天女」が「花珠」より優秀なのは、「てり」(輝き)の一点となります。
「天女」の色の違い
干渉色(光の反射と一緒にでる色)の違い
「天女」とは、ホワイト系の最高級真珠の呼称です。
ですので、ブルー系やイエロー系の真珠は「天女」となりません。
ボディカラー(実体色)はホワイトで、大体一緒ですが、
干渉色(光の反射と一緒にでる色)の違いによって、様々な色がでます。
干渉色(光の反射と一緒にでる色)の種類は、
- ピンク系
- ピンクグリーン系
- グリーン系
の三つに分かれます。
- 華やかなピンク系の真珠が欲しい方は、「ピンク系」
- 少しおとなしめなピンクは、「ピンクグリーン系」
- 上品なホワイト系の真珠が欲しい方は、「グリーン系」
というような感じで選べばよいかと思います。
オーロラ天女はナチュラルカラーか?染色か?
ピンク系かグリーン系か?という違いは、好みの問題ですが、
調色か無調色か?というのはこだわりに関わる、大きな問題です。
調色(染色)か無調色(ナチュラル)かという違いは、真珠をこだわって選ぶときにチェックしておきたい問題です。
結論をいうと、調色(染色)であっても、天女に合格します。
真珠では、ネックレスの色を統一させるために、染料をすこし使って、真珠に色をつける、ということが伝統的に行われてきました。
調色(染色)は、伝統的なエンハンスメントであるというのが業界の立場ですので、
最高級の真珠であっても、調色(染色)は問題ない、ということになります。
調色(染色)であれば、実体色(ベースカラー)に赤系の色が加えられるので、かなりピンクが強くなります。
オーロラ天女を選ぶときは
天女を選ぶときに一番気をつけたいのは、無調色(ナチュラル)か調色(染色)かという点です。
当然、無調色(ナチュラル)の方が価格が高くなります。
見分け方は、鑑定書の備考欄を見ることで分かります。
「着色を認めません」「真珠層固有のナチュラルカラーであることを認めます」との記載があるのが無調色(ナチュラル)、なにも書いていないのが調色(染色)です
少しややこしいので、ご注意下さい。
まとめ
以上、まとめますと
- 「天女」を発行するのは真珠科学研究所だけ
- 「天女」に合格する条件は、「花珠」であること
- 「花珠」のなかから、「テリ(輝き)」の強いものが「天女」に合格する
- 「天女」にも、無調色(ナチュラル)と調色(染色)があるので要注意
以上、、ご参考にして頂ければ幸いです。
アメリカ宝石学会公認鑑定士(GIA.G.G.)
Gemological Institute of America Graduate Gemologist
ダイヤモンド卸、宝飾メーカー勤務を経て、創業60年の老舗、井上真珠店に勤務。現在は暖簾分けされた宇和島イノウエパールの代表。
パール専門小売店にて「お客様一人一人と向き合う接客」をモットーに、お客様の希望や体型をヒアリングの上、仕入れから最終仕上げまでを行い、累計1,000本以上のネックレスを販売してきました。