アコヤ真珠とは | 真珠生産地愛媛宇和島のパール専門店 Uwajima Inoue Pearl

アコヤ真珠とは

日本でつくられ、その美しさで世界中の人々を魅了する、
国内産のアコヤ真珠(別名として本真珠とも呼ばれます)。

選りすぐりの真珠をつなげてつくられる一連のパールネックレスは、
ダイヤモンドリングと並ぶ、ジュエリーの定番アイテムとして、世界中で愛されています。

ここでは、そんなアコヤ真珠について、解説していこうと思います。

アコヤ真珠について

アコヤ真珠

アコヤ貝から生まれる真珠を「アコヤ真珠」と呼びます。
しっとりとした、奥深く複雑な輝きと、丸いかたちが魅力です。

日本では、古くから天然の真珠が獲れていたことが、古代の文書からうかがえます。

明治期の日本が、真珠の養殖技法を発明して生産を開始しました。
その後、世界の市場を席巻し、今では世界中のジュエリー愛好家に愛されています。

アコヤ真珠は、日本人の技術と、日本の豊かな自然によって育まれた、私たちが誇るべきジュエリーなのです。

今でも、アコヤ真珠は、日本の養殖業者の手で大切に養殖されて育てられています。

アコヤ貝とは

アコヤ貝

真珠を生み出すもととなる「アコヤ貝」について、宝石宝飾大辞典の項目が簡潔で分かりやすいので、一部抜粋させてもらいます。

あこやがい(阿古屋貝)

ウグイスガイ科に属する海水産の二枚貝で、真珠養殖上最も重要な種類であり、
日本で真珠母貝といえばこの貝を指すことが多い。

大きさは、長さ、高さとも7〜8cm、幅は3cm程度の中形の二枚貝である。
寿命は最長15年位といわれている。

貝の内側は美しい真珠層で覆われ、外側は黒ないし暗褐色の外皮で構成されている。

日本では太平洋側は房総半島、日本海側は能登半島を北限とし、南は沖縄まで広く分布するが、
比較的暖かい海域で水温20°〜26°、波の静かな湾内の水深5〜10m位の浅海が生息に適している。

近山晶『宝石宝飾大辞典』近山晶宝石研究所,1996
より引用(改行段落は当記事執筆者による)

アコヤ真珠の歴史

はるかな昔から、アコヤ貝は天然の真珠を生みだし、その美しさは人々を魅了してきました。
しかし、天然の真珠が生まれることはごくごく稀であり、その中でも、真円の形が生み出されることは、さらに稀でした。

現在、私たちが思い浮かべる、まん丸の真珠は、明治期の日本で発明されました。

西川籐吉、見瀬辰平、御木本幸吉。先人たちの発明と努力により、
1916年ごろには、日本で真円真珠の養殖が本格的に始まるようになりました。

御木本幸吉の銅像ミキモト真珠島の御木本幸吉像

1919年、ミキモトがパリ支店を開設。
それを皮切りに、ヨーロッパ、アメリカ、その他世界の宝石市場を日本のアコヤ真珠が席巻していきます。

その理由は、日本で養殖されたアコヤ真珠が、天然真珠に比べ、
輝きかたち等の品質において優れていて美しく、安価であったことです。

それまで欧米で主流だった天然真珠は、日本のアコヤ真珠によって販売量が激減しました。
日本産のアコヤ真珠の美しい形、美しい輝き、そしてお手軽な価格に、世界中の愛好家が熱狂したためです。

そして天然真珠の市場は、ほぼ壊滅し、パールといえば日本のアコヤ真珠をさすようになりました。

日常で、映画で、ショーで、真珠を身に付けたファッションアイコンたち。
ココ・シャネル、グレース・ケリー、オードリー・ヘップバーン、ダイアナ妃。

彼女たちが、身に付けたのも、みな日本産のアコヤ真珠だといわれています。

日本が誇るべき特産品であるアコヤ真珠は、もちろん、皇室の方々にも代々愛用されています。

アコヤ真珠の特徴

一粒のアコヤ真珠

  • てり(真珠ならではの輝き)が美しい
  • 中くらいの7-8mmサイズがメイン
  • まん丸な形が多い
  • 最も正統なスタンダードパール

アコヤ真珠の特徴は、透明感のある輝きです。 色彩のある輝きと、透明感を併せ持った、いわゆる「てり」の最も美しい真珠が、アコヤ真珠です。

8mm前後のサイズがメインです。他の真珠と比べると、中位のサイズであり、上品に身に付けられるサイズ感です。

真円真珠が出来やすく、すっきりとしたまん丸の形が楽しめます。

現代のファッションを形作った1920年代から1980年代まで、世界中で愛された真珠は、日本産のアコヤ真珠でした。

現在では、淡水真珠や南洋真珠などの生産量も増えましたが、
最も正統で、最もスタンダードなイメージのパールは、日本産のアコヤ真珠です。

アコヤ真珠の産地

真珠産地の宇和海

アコヤ真珠は、日本の海で作られます。

中国など海外での生産も始まってはいますが、低品質のものがごく少量だけできているようですが、
市場に出回っている高品質のアコヤ真珠は、日本産だと思って間違いないと思います。

養殖真珠発祥の地は三重県ですが、
1970年代頃より愛媛県がトップの生産地となりました。

その後、愛媛県と長崎県がトップを競うようになります。
ここ最近は生産量産出量ともに、愛媛県が真珠の最大産地となっています。

2018年のデータでは、愛媛県、長崎県、三重県の三県で、全体の96%の生産量を占めています。
上記三県以外では、九州各地で少量生産されています。

2018年の真珠生産量と真珠産出額の県別シェア

2018年度の真珠生産データ

全国総計 生産量 20,086 kg 産出額 17,010 百万円

愛媛県 生産量 8,003 kg(40%) 産出額 6,977 百万円(41%) 長崎県 生産量 6,961 kg(35%) 産出額 5,080 百万円(30%) 三重県 生産量 4,311 kg(21%) 産出額 3,596 百万円(21%)

農林水産統計より
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kensaku/bunya6.html

アコヤ真珠ができるまで

大きく分けて、以下の三つの工程を経て、ジュエリー製品となります。

  • 真珠を育てる母貝を育成する(2年)
  • 真珠を養殖する(1年〜2年)
  • 製品へ加工する(半年〜1年)

母貝を育成する

真珠の元となる母貝は、専門の業者が養殖します。

種苗センターなどから仕入れた2mmほどの赤ちゃんの貝(稚貝)を、
約2年かけて、7cmほどの大人の貝(母貝)に育て上げます。

真珠を養殖する

大人になったアコヤ貝は、11月ごろに養殖業者に引き渡されます。
この母貝をもとに、1年から2年ほどかけて、真珠を育てていきます。

核入れ(3月〜7月頃 )

アコヤ真珠の核入れadobestockによる画像

4ヶ月ほどの準備期間をおいて、春ごろに「核入れ」を行います。

真珠は、「核」のまわりに「真珠層」が何重にも巻くことで出来上がります。

まず、別のアコヤ貝から、外套膜と呼ばれる内臓の一部分を切り出します。
この外套膜が、「真珠層」のもととなります。

母貝の体内に、「核」と「外套膜(真珠層のもと)」を一緒に挿入します。

「核入れ」は人間に例えれば開腹手術のようなもので、熟練の技術と、細かな気遣いが求められます。

核入れを終えた真珠は、1ヶ月ほど静かな海で養生されます。

本養殖(8月〜12月頃 )

アコヤ真珠の養殖adobestockによる画像

養生の後、真珠貝を専用のネットに入れて、潮の流れの早い沖合に移し、本養殖が行われます。

そのままにしておくと、カキやフジツボ、海藻類が付着して、真珠貝の成長を妨げてしまいます。 そのため月に2-4回ほど、貝を掃除をして綺麗な状態に保ちます。

貝の状態を見て養殖する場所を移動したり、絶えず気を配る必要があります。

浜揚げ(12月〜1月頃)

真珠貝から真珠を取り出す作業を「浜揚げ」といいます。

冬の寒い時期は、「化粧巻き」と呼ばれる、最も美しい真珠層が生まれます。 その化粧巻きを活かすため、12月から1月頃に浜揚げが行われます。

もう一年、海に置いて養殖するものを「越物(こしもの)」と呼びます。

製品へ加工する

ネックレスに加工されたアコヤ真珠

浜揚げされた真珠は「入札会」というオークション形式の業者取引を経て、
真珠加工販売業者に手渡されます。

  • 穴あけ → 下処理 → 着色 → 連組 → 製品化

まず最初に、 指輪、ペンダント、ピアス、イヤリング、ブローチなどに使われる「片穴」と、
ネックレスに使われる「両穴」とに分けられます。
「片穴」は片面に一つだけ穴を開けた真珠、「両穴」は穴を貫通させた真珠です。

穴を開けられた真珠は、外部内部の不純物を取り除く下処理を施されます。
その後、多くの真珠は、染料を染み込ませる「調色」といわれる作業を行っていきます。

作業が終わると、片穴の真珠は製品化されますが、
両穴の真珠は、更に「連組み」と呼ばれる作業をおこないます。

これは、大きさ、色、形、光沢を合わせながら糸を通し、ネックレスに組み上げていく地道な作業です。

熟練の職人が丁寧に選別し、一本のネックレスに組み上げていきます。
熟練の技と、美的センスが問われる作業です。

アコヤ真珠に天然物は存在するか?

アコヤ真珠の天然物は無い、と言っても良いかと思います。

海のどこかには存在するのかもしれませんが、
養殖真珠と天然真珠の原理は変わらないうえ、養殖真珠の方がまん丸で綺麗であるため、
手間をかけて探す必要がないのです。

ケシ真珠とは

なお、養殖された真珠貝の中に、「ケシ(芥子)真珠」と呼ばれる無核の真珠が入っていることがあります。
ケシ真珠は、核から外れたピース(外套膜)が元となってつくられるものと、天然物と同じ原理でつくられるものとがあり、どちらであるかは判別不可能です。

ケシ真珠を「天然真珠」だと言う人もいますが、
養殖の過程で生まれた真珠ですので、「天然真珠」と呼ぶことは無理があると思います。
やはり、ケシ真珠は「養殖真珠」の範疇に入れることが正しいのではないでしょうか。

アコヤ真珠と本真珠の違い

本真珠とはアコヤ真珠の俗称です。

アコヤ真珠=本真珠

  • 正式な名称:アコヤ真珠(あこや真珠)
  • 俗称:本真珠

他の種類の真珠との違い

アコヤ真珠の特徴は、丸い形と、中程度の大きさ、卓越した輝きです。

様々な真珠のなかでも、丸い形、美しい輝きは優越していますが、 大きさでは、南洋白蝶真珠やタヒチ黒蝶真珠より劣ります。

多品種と比べると、アコヤ真珠は、上品な大きさで良質な品質を持つ真珠と言えるかとおもいます。

アコヤ真珠と淡水真珠、アコヤ真珠と南洋真珠など、多品種との違いなどは、
下記の記事にまとめてあります。ご参考下さい。

アコヤ真珠と花珠真珠の違い

アコヤ真珠の中で、品質を表す言葉として「花珠」や「天女」があります。

有名な「花珠」はアコヤ真珠の品質を表す言葉で、花珠と言う種類の真珠がある訳ではありません。

同じく「天女」もアコヤ真珠の品質を表す言葉で、花珠の上のランクを指します。

下記の記事をご参考下さい。

アコヤ真珠を使ったジュエリー

アコヤ真珠のチョーカーネックレス

アコヤ真珠を使ったジュエリーで最も有名なものは、50個ほどの真珠を連ねたチョーカーネックレスです。 胸元に沿うプレーンなタイプは、世界のジュエリーのスタンダードとなっています。

日本では冠婚葬祭に万能に使えますので、一つは持っておきたい定番のジュエリーです。

アコヤ真珠のロングネックレス

ココ・シャネルに愛されたことで有名なアコヤ真珠のロングネックレスは、華やかに身につけられる一品です。

60cmから120cmまで、様々な長さを、様々なスタイルで身につけられます。 80cm以上ですと、2連に巻きつけて身につけることも可能です。

真珠と真珠のあいだに、パーツをいれてアクセントをつけたステーションネックレスも人気です。

日本のお葬式での着用はNGですので、お気をつけください。

アコヤ真珠のリング(指輪)

指輪用の真珠は、通常、アコヤ真珠のなかでも最も美しい珠を選りすぐって作られます。 アコヤ真珠の卓越した輝きを楽しめるジュエリーですが、最大でも9〜10ミリくらいの大きさとなります。

大きさだけ比べると、南洋白蝶真珠よりも小さなジュエリーとなります。

アコヤ真珠のペンダント

良質なペンダントも、リングと同じく、最も美しい珠を選りすぐって作られます。 やはり南洋白蝶真珠と比べると小粒ですが、上品な輝きを楽しめます。

アコヤ真珠のピアス

耳元にぴったりとくっつくスタッドタイプのピアスは、様々なシーンで使える定番ジュエリーです。

6mm以下の小さめのパールピアスは、キッチリとしたお仕事のシーンにも着用できます。 8mm以上のピアスは、日常でもフォーマルでも使える万能タイプです。

10mm以上のきれいなアコヤ真珠ピアスは、ほぼ市場に出回りません。
華やかな大粒を望まれる場合は、南洋白蝶真珠を選ばれると良いかと思います。

まとめ

アコヤ貝を養殖して作り出されるのがアコヤ真珠です。
アコヤ真珠の養殖は日本で発明され、いまでもほとんどが日本でつくられています。

真珠養殖は日本のアコヤ真珠から始まりました。真珠のスタンダードスタイルは、アコヤ真珠が元になっています。

以上、アコヤ真珠の特徴や歴史、作り方などについて解説してみました。

ご参考になれば、幸いです。

参考文献

近山晶『宝石宝飾大辞典』 近山晶宝石研究所,1996
『えひめ発 真珠ものがたり』 中国四国農政局愛媛統計情報事務所 編 愛媛農林統計協会
『真珠の世界史』 山田篤美 著 中公新書,2013