花珠ってなに? | 真珠生産地愛媛宇和島のパール専門店 Uwajima Inoue Pearl

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2019.08.10

花珠ってなに?

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「花珠」

真珠を探しているとよく聞く言葉ですよね。

では、その「花珠」とは、一体どんな真珠を指すものでしょうか?
実はこの言葉、専門家の間でも曖昧になりがちな言葉なのです。

ここでは、その曖昧になりがちな言葉である「花珠」がとはどんなものなのか、

  1. 花珠の歴史
  2. 花珠の定義と解説
  3. 花珠の長所と短所
  4. 花珠を選ぶ際の注意点

以上の4点について解説していこうと思います。

「花珠」という言葉の歴史

「この珠は花珠やけんのお」

子供の頃、真珠養殖業のおじさんから、「花珠」という言葉を聞いた覚えがあります。

「花珠」という言葉は、真珠養殖をしていた筆者の祖父の代から使われていた、ということなので、
少なくとも戦前戦後くらいには養殖業者の間では普通に使われていたようですね。

ただ、その定義は曖昧で、一級品の真珠のことを指したり、
広くは「キレイな真珠」のことを漠然と「花珠」と呼んでいたようです。

その「花珠」という言葉が、小売の現場で一躍注目を集め始めたのが、90年代のことです。

長年にわたり真珠を研究してきた小松博先生が立ち上げた「真珠科学研究所」が、
パールの品質を科学的に分析し、独自の基準として「花珠」を定義し、鑑定書の発行を始めたのです。

花珠鑑定書の流行と混乱

ちょうどその頃、ダイヤモンドでは鑑定書が付くのが一般的となっていました。

「どうして真珠には鑑定書がつかないの?」
そんな消費者のニーズとタイミングがうまくマッチして、「花珠」の鑑定書は瞬く間に業界に広がっていきました。

ただ、「花珠」が有名になったがゆえに、混乱も起こります。

上記のように「花珠」は真珠業界で昔から使われている、一般的な言葉でした。
よって、「花珠」の言葉を使った鑑定書は誰でも発行することができたのです。

そもそも宝石の鑑別機関は誰でも設立することができます。

いい加減な鑑別機関が発行した「花珠」鑑定書は、
目も当てられない、低品質のものも多くあり、消費者の混乱を招く元になりました。

真珠は、ダイヤモンドやルビーなどのように鉱物ではありません。
生物が生み出した宝石です。

その品質の鑑定は、真珠専門の鑑定機関が行う必要があります。

現在、「花珠」の鑑定書を発行している鑑別機関で信頼をおけるところは、
「真珠科学研究所」と「真珠総合研究所」の二ヶ所だといわれています。

花珠の品質基準とは

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では、その「花珠」の合格基準とは、どんなものでしょうか?
真珠科学研究所のホームページより、その定義を引用してみます。

  • 6ミリ以上のホワイト系アコヤ真珠に適用します。
  • まきは0.4ミリ以上とします。
  • かたちはセミラウンドまで許容範囲とします。
  • きず(面)は真珠科学研究所基準でチェックします。
  • テリを最重視し、輝きと干渉色の両面を真珠科学研究所基準でチェックします。

オーロラ花珠とは?|真珠科学研究所より引用

お分かりでしょうか?よく分からないですよね(笑)

そこで、真珠科学研究所の研修を受けたり、
実際に鑑定に出して、花珠に通ったり落ちたりを繰り返してきた著者が、
経験上分かってきた基準について説明しようと思います。

花珠基準の本当のところ

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花珠の規格とは、要するに、以下の二つの要素から出来上がっています。

品質劣化の恐れがないこと

美しい見ためであること

この二つです。では、その二つの要素の具体的中身とは、どんなものでしょうか?

「品質が劣化する恐れのある真珠」
  1. 薄巻きの真珠
  2. キズがある真珠

・真珠層の厚さである「巻き」が薄い真珠は、品質の劣化が発生しやすくなります。具体的には、片面0.4ミリ以上の「巻き」がない真珠は、不合格となります。
・また、真珠層の割れや、異物混入などで発生する「キズ」は、劣化の原因となりますので不合格となります。

この二つは、見ための美しさにも関係しますが、劣化の直接の原因となるので、かなり厳しくチェックされます。

2.「美しい見ため」
  1. 6ミリ以上の「大きさ」
  2. ホワイト系の「色」
  3. ある程度以上の「テリ」
  4. ほぼまん丸である「形」

これらの要素は、見ための美しさに関係します。
しかし、品質の劣化には直接関係するものではないので、それほど厳しい条件ではありません。

ここで注意して頂きたいのは、

「劣化の恐れのある要素」についてはかなり厳しい評価である一方、
「見ため」の要素は、そこまで厳しくなく、中程度の評価で合格となることです。

要するに、買った日から見ためが変わることなく、ずっと使ってもらえる真珠、ということに重点を置いているようです。

それはそうですよね。買った時はキレイだと思った真珠が、数年で劣化したら、かなりガッカリです。

品質劣化の一番の原因は「薄巻き」と「キズ」です。
よって、この要素が悪い真珠は、決して花珠に合格しません。

「花珠」という言葉の良い点と悪い点

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花珠鑑定書が一般化することによって、業界に与えた影響は、良い影響と悪い影響があります。
良い面として、

真珠の品質基準が(ある程度)統一された

ということがあります。

それまでは、ある小売店が「高品質の真珠」としていた真珠が、他の小売店では「低品質の真珠」である、ということは頻繁にありました。

それが、「真珠科学研究所の花珠基準」を基準として、ある程度の品質の統一が取れるようになってきたようです。

(もちろん、独自すぎる基準を使っている業者もまだかなり多いです。)

これは、消費者からすれば、「花珠を基準にすれば選びやすい」状況だと思います。

一方、悪い面としては、

花珠以上の真珠の良さが消費者に伝えられなくなった

ということがあります。

「花珠」という基準は高品質の真珠の証明ではありますが、最高品質の証明ではありません。乱暴に言ってしまえば、「花珠」は100点満点中でいえば80点程度の真珠です。
その80点の品質が有名になることによって、80点でも100点でも、同じ品質だと思われることが多くなりました。

真珠販売店の中には、90点以上の真珠しか扱わない業者もあります。
そんな真珠屋さんは、「割高な真珠屋」だと誤ったレッテルを貼られてしまうこともありました。

また、「花珠」の基準は、キズに厳しい基準です。
一方、テリ(輝き)に関しては、それほど厳しい基準ではありません。

なので、テリ(輝き)が素晴らしい真珠であっても、キズが少しあるがゆえに、「花珠」に合格できず、不当に人気がなくなってしまう、ということがあります。

花珠の基準は、最高品質の真珠を規定するものではなく、低品質の真珠を除外する規定だと言えるかもしれません。

花珠を購入するときは

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では、実際に花珠を購入する場合はどうしたら良いでしょうか?

今まで解説してきたことを考えあわせると、
花珠を購入する場合に、注意するべきことが三つあります。

  1. 「花珠」は最高級の真珠のことではなく、中の上以上の品質の真珠を指していること。
  2. 「花珠」に合格していなくても、花珠以上のテリをもつ真珠がある。
  3. 真珠科学研究所と真珠総合研究所以外の「花珠」という言葉を信用しないこと。
「花珠」とは中の上以上の品質の真珠

「花珠」は中の上以上の品質の真珠である、ということを知っていれば、
花珠の中でも、色々な価格のものが存在することが納得できると思います。

特に宝石は、最高のランクに近づくほど、少しの品質の差が価格に大きく影響します。
よって、一括りに「花珠」と言っても、かなりの価格差があるということを覚えて頂ければと思います。

(業者によっては、合格ギリギリのランクを狙った低品質の「花珠」のみを扱うところもあります。)

なお現在、真珠科学研究所は、「天女」という「花珠」の上のランクの鑑定書も作っています。ですが、まだ「花珠」ほど広く知られていないので、「天女」に合格するような真珠も「花珠」のままの鑑定書であることもあります。
「花珠」でなくても、花珠以上のテリをもつ真珠がある

花珠の鑑定書を取得するには、手間も費用もかかります。
ペンダントやピアスなどのふだん使いのジュエリーでは、コスト的な問題で花珠鑑定書を取得することは少ないです。

しかし、そんなペンダントやピアスの中には、「花珠ではないので低価格だが、見ためが非常に良い」というものがあります。

これはすごくお買い得のように思えますが、一般の方では、本当にお買い得なのか、判断することが難しい物件です。
一般的には、こういうこともあるのだ、ぐらいで考えていた方が良いかもしれません。

真珠科学研究所と真珠総合研究所以外の「花珠」は「花珠」ではない

上でも述べましたが、花珠鑑定書は誰でも発行することができます。中には、どんな真珠でも「花珠」に認定する鑑別機関も存在します。
必ず、どこが発行した花珠鑑定書なのかを確認するようにして下さい。
「真珠科学研究所」と「真珠総合研究所」以外の「花珠」は信用できません。

まとめ

以上、花珠という言葉の解説でした。
「その真珠」がキレイかどうかを判断するのは、お客様の好みなので、必ずしも「花珠」という言葉に頼る必要はないかと思います。

ただ、判断するときの一つのモノサシとして、「花珠」という言葉の意味を知っておけば、判断の幅が広がっていくかと思います。

参考にして頂ければ幸いです。

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