
真珠の違いと見分け方
違いが分からない!
真珠についてよく言われる言葉です。
確かに、真珠の違いは分かりづらいですが、コツをつかめば、簡単に真珠を見分けることができます。
ここでは、「本物と偽物の違い」「貝の種類による違い」「品質の違い」「価格の違い」と、違いの種類ごとに、なるべく分かりやすく解説していこうと思います。
1.本物と偽物の違い
イミテーションパール、フェイクパールと呼ばれる、真珠を模造したアクセサリーは数多くあります。
代表的なフェイクパールの種類は、以下のようなものがあります。
- 貝パール
- コットンパール
- ガラスパール
- プラスティックパール
これらは、様々な素材を使って真珠のように見せかけた偽物です。
本物と偽物を見分ける方法はいくつかあります。
・真珠と真珠を擦りあわせて、ざらざらしているのが本物、ツルツルしているのが偽物
・蛍光灯で照らすと、青く光るのが偽物、光らないのが本物
・持って軽いのが偽物、重いのが本物
しかし、これらの方法は、著者もやったことがあるのですが、いまいちよく分かりませんでした。
真珠を擦りあわせる
ざらざらのような? ツルツルのような? よく分からない。。。
蛍光灯で照らす
光っているような、光ってないような、やっぱりよく分からない。。。
持って軽いか重いか
全然分からない。。。そもそも同じ大きさの本物と偽物が手元にないと無理。
というわけで、これらはあまりオススメできません。
本物と偽物の見分け方
本物と偽物を見分けるときには、穴を開けた断面に注目します。
本物の真珠は、断面が直線的で、綺麗な穴があいています。
偽物の真珠は、断面にデコボコがあり、穴の周りの部分が盛り上がったりしています。
ネックレスであれば、穴を開けてある部分は簡単に見れますので、断面に注目して見ていただければと思います。
ただ、本物を偽物と間違えて捨ててしまったりしたら大惨事ですので、最終的な判断はプロにしてもらうことをオススメします。
本物の真珠とは
一番気になるのが、「つけてて偽物だと分からないか?」ということだと思います。これについては一旦、「見る人が見れば分かる」とお答えしようと思います。
大事なことは、「本物か偽物」かは、身につけている本人が一番分かっている、ということです。
偽物をつけて本人が満足されているのでしたら、それはそれで全く問題はありません。
宝石は生活必需品ではありません。
予算が限られている状態で、お葬式などの必要に迫られて買うのであれば、劣悪な品質の真珠よりも、偽物の真珠を買った方が良いと著者は思います。
しかし、本物の高品質な宝石をつける喜びは、とても大きいと思います。
また、本物に触れ合うことで、物事の本質を見分ける力を身につけられるのではないでしょうか。
3.真珠貝の種類による違い
真珠には、元となる母貝の違いによって、様々な種類があります。
アコヤ真珠
母貝:あこや貝(アコヤガイ)
主な生産地:日本
サイズ:3mmから11mm程度
色:ホワイト、イエロー、ブルー
解説:有核養殖。海水真珠。日本で生産されるいわゆる本真珠。フォーマル等正式な場面で使われる。
アコヤ真珠の特徴
- 大きさは、10mmくらいまで。あまり大粒でない
- 形は、まん丸、もしくはまん丸に近い
- 色は、ホワイト、うっすらピンク、うっすらイエロー、派手な色でない
淡水真珠
母貝:池蝶貝(イケチョウガイ)
主な生産地:中国
サイズ:1mmから非常に大粒まで様々
色:バイオレット、オレンジ、ホワイト
解説:無核養殖。湖などの淡水で養殖される。大量に生産され低品質で安価な物が多いが、近年は綺麗なものも。
淡水真珠の特徴
- 変形したものが多い
- 濃いピンク、濃い紫、濃いオレンジなどの派手な色合い、もしくはホワイト
南洋白蝶真珠
母貝:白蝶貝(シロチョウガイ)
主な生産地:インドネシア、オーストラリア、フィリピン、ミャンマー
サイズ:8mmから20mm程度。大粒なものが多い
色:ゴールドリップ(イエロー、ゴールド)シルバーリップ(シルバー、ホワイト)
解説:有核養殖。海水真珠。アコヤ真珠に似た見た目だが、大粒でピカピカする輝き。
南洋真珠の特徴
- 10mm以上
- ホワイトはグレーっぽい色が多い
タヒチ黒蝶真珠
母貝:黒蝶貝(クロチョウガイ)
主な生産地:タヒチ
サイズ:7mmから18mm程度。大粒なものが多い
色:ブラック系グリーン、ブラック系レッド、ゴールド、グレー
解説:有核養殖。海水真珠。黒真珠として有名。グリーン色の鮮やかなものはピーコックと呼ばれる。
タヒチ真珠の特徴
- 10mm以上の大粒
- はっきりとしたブラック
4.真珠貝の種類の見分け方
真珠の種類を見分けることはとても難しいです。正確には鑑別機関で鑑別する必要があります。
ですが、貝の種類ごとの大雑把な特徴を捉えれば、80-90%程度の確率で見分けることは可能かと思います。
(10mmまで)
(10mm以上)
(10mmまで)
(10mm以上)
淡水真珠
(10mmまで)
(10mm以上)
というような感じで考えてもらえれば、大体は区別できるかと思います。
とはいえ、プロでなければ正確な判断はできないので、お店に持っていくことをオススメします。
5.品質の違い
当然ですが、品質が高いほど価格も高くなります。
真珠の価値について、次の4つの要素に注目してもらえればと思います。
- 大きさ(大きいほど価値がある)
- かたち(丸に近いほど価値がある)
- キズ(キズがないほうが価値がある)
- 輝き(輝きが強いほうが価値がある)
その他、「色」に関しては、以下のことに注目してください。
- ホワイト系の黄色っぽいものは価値が低い
- ブラック系タヒチ真珠でグリーンの色が強いものは「ピーコック」と呼ばれ価値が高い
- アコヤ真珠と南洋白蝶真珠でイエローのごく強いものは「ゴールド」と呼ばれ価値が高い
6.品質の見分け方
真珠の品質を見分けることは難しいです。上で記述したポイントを考えていただくほか、 信頼できる鑑定機関の鑑別書で判断する、というのは確実な方法です。
「真珠科学研究所」「真珠総合研究所」のふたつの鑑定機関は、信頼がおけるので見分ける参考にすることが可能です。
逆にいえばこのふたつ以外の鑑定機関の鑑定書であれば、参考にしない方が無難です。
7.価格の違い
品質が高ければ価格も高い、ということはご理解頂けると思います。
では、違う種類の真珠の場合はどうなのか?
真珠の種類によって価格は違う
同じ10ミリの大きさで、似たような見た目のホワイト系の真珠を比べてみますと、価格は以下のような順番になると思います。
- アコヤ真珠 > 南洋白蝶真珠 > 淡水真珠
これは、希少性による違いです。
アコヤ真珠は比較的小粒な真珠しか生産できないので、10ミリの真珠は希少です。
よって、他の種類の10ミリの真珠と比べると、相対的に価格は高くなります。
真珠の種類によって輝きの性質が違う
では、10ミリの真珠であれば、南洋白蝶真珠や淡水真珠を選んだ方が良いのか?そうはいえません。
似たような見た目であっても、輝きの性質が違うからです。
アコヤ真珠、南洋白蝶真珠、淡水真珠、これらは同じ真珠であっても「てり(色彩をともなう輝き)」の出かたが違います。
日本の真珠のてりの美しさ
アコヤ真珠は大きさのわりに比較的高価ですが、しっとりとした奥深い輝きがあります。
真珠科学研究所の小松博先生は、その共著書「ニッポンの真珠がいちばん美しい」の中でこう述べられています。
『真珠の美しさを語るなかで最も重要な『テリ(輝き)』という要素で比べると、アコヤ真珠が世界最高位であることは確かです。
ひいき目かもしれませんが、淡水真珠や南洋白蝶真珠のピカピカの輝きと比べても、 しっとりとした奥深い輝きを放つアコヤ真珠の輝きは、唯一無比のものだと思います。
以上、参考にして頂ければ幸いです。
アメリカ宝石学会公認鑑定士(GIA.G.G.)
Gemological Institute of America Graduate Gemologist
ダイヤモンド卸、宝飾メーカー勤務を経て、創業60年の老舗、井上真珠店に勤務。現在は暖簾分けされた宇和島イノウエパールの代表。
パール専門小売店にて「お客様一人一人と向き合う接客」をモットーに、お客様の希望や体型をヒアリングの上、仕入れから最終仕上げまでを行い、累計1,000本以上のネックレスを販売してきました。