真珠のお手入れは拭くだけ|てりクロス・保管・糸替えまで分かる完全ガイド
真珠のお手入れのコツは、実はひとつだけです。
「使い終わったら、柔らかい布でさっと拭く」。これだけです。
人の汗は弱酸性で、真珠層をゆっくり傷めてしまいます。だからこそ、使ったあとのひと拭きが何より大切です。
この記事では、日々の拭き方から、くもってきたときの対処、保管、糸替えのタイミングまで、真珠と長く付き合うために知っておきたいことをまとめました。
真珠のお手入れの基本は「拭くだけ」
通常の使用のあとは、全体をさっと拭くだけで十分です。
汗を多くかいた日は、一粒ずつ揉むように丁寧に拭いてください。
使う布は、メガネ拭きのような柔らかく綺麗な布であれば基本的に何でも大丈夫です。ティッシュペーパーは繊維が硬く、表面に傷がつく可能性があるため避けてください。
てりクロスとリフレッシュクロスの正しい使い分け
真珠専用のお手入れクロスには、実は2種類あります。用途を混同すると、効果が半減したり、逆に真珠を傷める場合もあるため、区別して使ってください。
てりクロス(日常用)
研磨剤が入っていないクロスです。使い終わったあとの汗拭きに、毎回使ってください。
リフレッシュクロス(特別ケア用)
微量の研磨剤が入ったクロスです。長年使って表面にくもりが出てきたタイミング、目安として年に一度ほど使うと効果的です。表面がなめらかな状態であれば、削れすぎる心配はありません。
普段のお手入れにリフレッシュクロスを使う必要はなく、てりクロスで十分です。
これはNG。やってはいけないお手入れ
真珠は思われているより丈夫で、落とした・ぶつけた程度で傷がつくことはほとんどありません。ただし、いくつか避けるべき扱いがあります。
- 水洗い禁止:真珠は穴を開けて糸を通す構造上、穴から水が浸み込みます。内部が水を含んで膨張し、乾燥時に収縮することで真珠層にズレが生じ、輝きが失われる恐れがあります。
- 防虫剤は側に置かない:防虫剤の成分、特に樟脳は真珠と相性が悪く、劣化の原因になります。
- 超音波洗浄機は使用不可:振動が真珠層にダメージを与えます。
- 高温多湿の場所での保管は避ける:湿度の急激な変化が真珠層を傷めます。
- ティッシュでの乾拭きは避ける:繊維が硬く、表面に細かい傷がつく可能性があります。
てりクロスで落ちない汚れができたら
てりクロスで拭いても取れない汚れがついてしまうことがあります。
まずはリフレッシュクロスで、いつもより念入りに拭いてみてください。研磨剤の効果で、たいていの汚れやくもりはこれで落ちます。
それでも取れない場合は、購入した店に持ち込んでください。
当店でお求めいただいた真珠については、専用の機器「パールリフレッシャー」による磨き直しを永年無料で承っています。
だからこそ、真珠は「買った後どうケアしてもらえるか」まで含めて店を選ぶことが大切です。困ったときにきちんと対応してくれる、アフターメンテナンス体制のある店で購入することをおすすめします。
巻きの良い高品質な真珠を適切な環境で保管していれば、色味はそう簡単には変わりません。パールキーパーでの保管は、こうした変化を抑える方法としておすすめです。
さらに念を入れたい方向けに、当店では「マイクロパーマネント加工」というケアもご用意していますが、必須のものではなく、あくまで追加の選択肢です。なお、すでに色味が変化してしまった真珠は、拭き方や加工で元の色に戻すことはできません。
保管方法の基本
保管の基本は、光(紫外線)と湿気(湿度の変化)を避けることです。
タンスやキャビネットの中で、ケースに入れて保管してください。防虫剤とは段を分けるなど、距離を置くことも忘れずに。
湿度調整・吸水・防錆の機能を備えた「パールキーパー」を使うと、より安心です。
保管方法の詳しい解説は、こちらの記事にまとめています。
糸は5〜10年で替える
真珠のネックレスは、主に糸で連ねて組み上げられています(ワイヤーで組まれているものもあります)。糸は少しずつ劣化するため、5〜10年を目安に糸替えをおすすめしています(当店の目安は10年に一度)。
当店でお求めいただいた真珠は、糸替えも永年無料です。糸替えの際、真珠の穴付近など普段のお手入れが行き届きにくい汚れも合わせてクリーニングいたします。
糸替えの詳しい内容や見分け方は、こちらの記事で解説しています。
よくある質問
Q. パールキーパーは必ず必要ですか?
なくても保管は可能です。通常のケースやジュエリーボックスに入れ、湿度の安定したクローゼットなどに保管してください。外出時に荷物を減らしたい場合は、真珠てり畳紙に包んで持ち運ぶ方法もあります。パールキーパーがあれば、より安心してお使いいただけます。
Q. 扱いがガサツで傷つけないか心配です
真珠は思われているより丈夫です。落とした・ぶつけた程度で傷がつくことはほとんどありません。ただし汗には弱いため、使い終わったあとにてりクロスでさっと拭くことだけ心掛けてください。
Q. 保管場所として避けたほうがいい場所はありますか?
直射日光が当たる場所と、衣類と一緒のクローゼット(防虫剤の近く)は避けてください。衣類のないサイドボードや、化粧品・香水とは別の棚がおすすめです。
Q. 昔買った真珠が黄ばんでいます。クリーニングしたら直せますか?
残念ながら、黄ばんでしまった真珠を元の色に戻すことはできません。
ただし、「黄ばんだ」と感じたものが、実は劣化ではないケースもあります。昔の真珠は、現代の真珠に比べて黄色みが強い傾向がありました。今の真珠と見比べたときに、その色の違いを「黄ばんだのでは」と感じている可能性もあります。
Q. 真珠ってすぐ黄ばむものなのですか?
巻きの良い高品質な真珠であれば、適切な環境で保管している限り、色はそう簡単には変わりません。
「真珠は黄ばむもの」というイメージが広がっているのは、昔の真珠がもともと黄色みの強いものが多かったことが一因と考えられます。現代の真珠は、そこまで黄ばみやすくはありません。
Q. 真珠の輝き(てり)がなくなりました。削れば元に戻りますか?
輝きが失われる原因は、経験上大きく2つに分かれます。
- 表面に汗などの汚れが固着している場合:リフレッシュクロスでしっかり拭く、または当店のパールリフレッシャーで表面の汚れを取り除けば、輝きは戻ります。
- もともと輝きが弱い真珠だった場合:他の真珠と比べて「輝きがない」と気づき、削れば出るのではと思われる方が多いのですが、もともとない輝きを削り出すことはできません。
参考文献
- 真珠科学研究所「パールテクニカルシートNo.1 真珠てりクロスによる真珠の手入れ法」
- 真珠科学研究所「パールテクニカルシートNo.19 リフレッシュクロスによる艶だし及び修復法」
- 真珠科学研究所「マイクロ・パーマネントについて」
日々のお手入れについて分からないことがあれば、購入店に関わらずお気軽にご質問ください。なお、クリーニング・糸替えの施術は、当店でお求めいただいた真珠に限り、永年無料で承っています。
ご家族の分もこれから検討されている方は、真珠の選び方がわかる無料資料もご用意しています。
米国宝石学会(GIA)公認鑑定士・Graduate Gemologist(G.G.)
真珠科学研究所認定 テリマスター/真珠C・E(クリーニング&エステ)マスター
株式会社Inoue Pearl(イノウエパール)代表。
ダイヤモンド卸・宝飾メーカー勤務を経て、1965年創業の真珠専門店「有限会社井上真珠店」に参画。2016年、井上真珠店松山店からのれん分けして独立した。
生まれも育ちも愛媛県宇和島市。宇和島で真珠養殖を始めた祖父から数えると3代目となる。
厚巻き・強てりを品質の原則とし、自社基準を満たさない真珠は取り扱わない。ほぼ全商品に真珠科学研究所または真珠総合研究所の鑑定書を付与。無調色真珠をメインに扱う。累計1,000本以上のアコヤ真珠ネックレスを自社にて選別・販売してきた。
実店舗は愛媛県松山市。公式オンラインショップ(https://shop.i-pearl.co.jp/)でも販売中。




