パールネックレスの留め具クラスプについて
パールネックレスを後ろでつなぎ合わせる留め具を、「クラスプ」とよびます。
ロングの髪を上げている場合、またはショートの髪のときには、後ろ姿で見える部分なので、デザインにはこだわりたい部分です。
従来、選択の余地がなく、ネックレスについてきたものを我慢して使うしかなかったのですが、現在は、色々なデザインから選択可能な店が増えてきています。
ここでは、そんなパールネックレスの留め金具(クラスプ)について、「デザイン」、「素材」、2つの側面から、解説していきたいと思います。
- 現代の主流 プラグ式片面
- 裏表のないデザイン プラグ式両面
- 昔からあるクラシカル バネ式
- 交換を推奨 旧型バネ式
- クラスの素材 シルバー
- シルバーの変色について
- シルバーのアレルギーについて
- クラスの素材 ゴールド
- クラスの素材 チタン
パールネックスの留め金具のデザインについて
クラスプを選ぶときに、もっとも重要視されるデザインについて、それぞれの特徴と操作性に注目して解説します。
デザイン① プラグ式片面
今もっともポピュラーなデザインのクラスプです。
その一番の特徴は、付け外しのしやすさにあります。
裏面の窪んでいる部分を軽くつまむと外れ、入れるときはカチッというまで差し込むだけ。
挿入する棒状のプラグは、上下左右もないので、向きに気をつける必要もありません。
シンプルなデザインで、つける人を選びません。
デザイン② プラグ式両面
①のプラグ式片面と同じく、付け外しのしやすい金具です。
特徴は表裏にデザインが施されている点です。
真珠のネックレスは、着用していると、結構クルクルと回っていくのですが、この金具は、裏返った場合でも不恰好になりません。
上部についているボタンを押すと外れ、入れるときはカチッというまで差し込みます。
挿入する棒状のプラグは、上下左右もないので、向きに気をつける必要もありません。
①のプラグ付片面と比べると、少し小型ですので、若干操作系が劣るところがあるかもしれません。
デザイン③ バネ式
昔から使われていたデザインの金具です。
お母さんが使われていて、馴染みがある方は多いと思います。
このクラスプは、とにかくデザインがカワイイ。
また、クラシックな雰囲気があるので、見た目重視で選ばれる方も多い金具です。
反面、金属の弾性を利用した古い設計のバネ式ですので、付け外しがしづらく、故障が多いのが難点です。
挿入する向きが合っていないとキチンと留まらないので、気をつけて着用する必要があります。
また、つまみ部分が潰れやすく、潰れてしまうと、着用しているうちに外れる恐れがありますので、セーフティーがついているタイプをオススメします。
デザイン④ 旧型バネ式
「バネ式」より更に旧タイプのデザインです。使われる地金の量が少なく、安価に製作できます。
操作性に難があり、壊れやすいので、全くオススメできません。
パールネックスの留め金具の素材について
アレルギーが心配な方は、素材の選択にもこだわるべきかもしれません。それぞれの素材の特徴について解説します。
素材① シルバー
パールの留め金具(クラスプ)でもっとも多く使われているのは、シルバーです。
925スターリングシルバーと呼ばれる、銀の含有率92.5%の素材を使います。
シルバー製品を使うにあたって気になる点は、
- 変色しないか心配
- アレルギーにならないか心配
ということではないでしょうか?
変色について
シルバーといえば変色する、と思われがちですが、
アコヤ真珠のネックレスで使われるシルバーのほとんどには、ロジウムメッキを施しているので、変色はしません。
正確には、メッキが剥がれてしまうと変色するのですが、普通に使う分には、ほぼ剥がれないと思って良いかと思います。
長時間カジュアルに着用することが多いリングやチェーンに比べて、パールネックレスの着用時間は短時間です。
パールネックレスの留め金具のロジウムメッキは、ほぼ剥がれることはないと思って良いかと思います。
アレルギーについて
シルバーはアレルギーを起こしづらい素材です。
更に、パールネックレスに使われるシルバーには、ロジウムメッキを施しています。ロジウムはアレルギーを起こしにくい素材です。
一般的に思われているより、シルバーで金属アレルギーはおこりにくいです。
ただ、メッキが剥げてくると、ロジウムメッキの下地のニッケルメッキによってアレルギーを起こすことがあるので、注意して下さい。
シルバークラスプはときどき交換を検討する
パールネックレスのシルバー製留め金具のせいで金属アレルギーをおこした方は、とても敏感な方などごく少数です。
しかし昔のものですと、やはりデザインが古くなってきたり、メッキが剥げてきたりするので、交換をオススメしています。
シルバーの留め金具ですと、3,000円程度で交換が可能ですので、10年程度ごとに交換を検討するのが良いかと思います。
素材② ゴールド など
もっとも多く使われている留め金具の素材は、ロジウムメッキを施したシルバーですが、ホワイトゴールドやイエローゴールドで作られた金具もあります。
アレルギーになる可能性がシルバーよりも更に低く、こだわりを満足させてくれます。
ですが、ゴールド製金具の特徴は、とても高価です。
ネックレス購入の際は、追加料金が必要となりますが、ゴールドにこだわりを持たれる方は、検討するのも良いかと思います。
ただ、ご注意頂きたいのは、素材がゴールドというだけで、付けにくく、外れやすい、安価な留め金具も存在します。
そのような留め金具でを選ばれるようでしたら、シルバーの方がましだと思います。
ゴールドににこだわるのであれば、追加料金(2-3万円程度)を覚悟して、しっかりとした留め金具を選んで頂ければと思います。
素材③ チタン
アレルギーになる可能性がとても少ない、チタニウムで作られたクラスプもあります。
若干黒っぽく、見た目はあまり良くありません。現在、「プラグ式片面」のデザインが流通しているようです。
選択肢は少ないですが、とても敏感な方は、検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
以上、真珠の留め金具である、クラスプについて解説してみました。
従来、あまり選択肢がなかったのですが、現在はいろいろなこだわりで選ぶことが可能です。
ご購入の際、リフォームの際などの参考にして頂ければ幸いです。
アメリカ宝石学会公認鑑定士(GIA.G.G.)
Gemological Institute of America Graduate Gemologist
ダイヤモンド卸、宝飾メーカー勤務を経て、創業60年の老舗、井上真珠店に勤務。現在は暖簾分けされた宇和島イノウエパールの代表。
パール専門小売店にて「お客様一人一人と向き合う接客」をモットーに、お客様の希望や体型をヒアリングの上、仕入れから最終仕上げまでを行い、累計1,000本以上のネックレスを販売してきました。